慎思録 / 巻之四
學貴以漸日進。天下之極遠。固有人跡所不及者。然日日力征而不巳。則亦無所不至也。學之源流遠矣。苟下學之功。日進不息。久則可以上達也。
新字:学貴以漸日進。天下之極遠。固有人跡所不及者。然日日力征而不巳。則亦無所不至也。学之源流遠矣。苟下学之功。日進不息。久則可以上達也。
書き下し
学は漸を以て日に進むを貴ぶ。天下の極遠は、固より人跡の及ばざる所の者有り。然れども日日力め征きて已まざれば、則ち亦た至らざる所無し。学の源流は遠し。苟も下学の功、日に進みて息まざれば、久しくして則ち以て上達すべし。
現代語訳
学問は少しずつ日々進むことを貴びます。天下の果ては、もとより人の足跡の及ばないところもあります。しかし毎日努めて進み続けて止まなければ、至らないところはありません。学問の源から流れは遠くまで続いています。もし身近なところから学ぶ努力が日々進んで止まなければ、久しくして高いところに到達することができるのです。
解説
学問は一足飛びではなく、少しずつ毎日進むことが大切だと説く短い条です。どれほど遠い所でも、毎日歩き続ければいつか必ず着くというたとえは明快です。「下学して上達す」は『論語』憲問篇の言葉で、身近で平易なことから学んで、やがて高遠な道理に通じることを言います。八十五歳まで学び続け多くの著作を残した益軒自身の歩みが、この言葉の何よりの証です。大きな目標を前にしても、今日の一歩を着実に積み重ねることの力を、静かに教えてくれる一条です。
この章句が説くこと
学問漸進下学上達継続
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