慎思録 / 巻之四
子弟之輩。雖有小過。不可信婢妾小人之言。而罵詈之。苟如此。則子弟雖有其過。而不能心服。却不恚怒怨憤者寡矣。因茲至乎父子相夷者。往往有之。可不愼乎。
新字:子弟之輩。雖有小過。不可信婢妾小人之言。而罵詈之。苟如此。則子弟雖有其過。而不能心服。却不恚怒怨憤者寡矣。因茲至乎父子相夷者。往往有之。可不慎乎。
書き下し
子弟の輩、小過有りと雖も、婢妾小人の言を信じて之を罵詈すべからず。苟も此の如くすれば、則ち子弟其の過ち有りと雖も、心服すること能はず。却つて恚怒怨憤せざる者寡し。茲に因りて父子相夷ふに至る者、往往にして之有り。慎まざるべけんや。
現代語訳
子弟たちに小さな過ちがあっても、下女や妾、つまらない者の言葉を信じて罵ってはいけません。もしそうすれば、子弟に本当に過ちがあったとしても、心から服することはできません。かえって怒り怨まない者は少ないのです。そのために父と子が互いに傷つけ合うに至ることが、しばしばあります。慎まずにいられましょうか。
解説
子どもや若者の小さな過ちを、周囲の告げ口だけを根拠に叱ってはならないと戒める短い条です。人づての話で叱られれば、たとえ本当に過ちがあっても、本人は納得せず怨みを抱くと益軒は言います。「父子相夷ふ」は『孟子』離婁上で、父が子を直接教えると互いに傷つけ合うことを述べた言葉です。部下や子どもを注意するとき、第三者の話を鵜呑みにせず、本人の話を聞き事実を確かめてから伝えるという手順は、信頼関係を壊さないための基本だと教えてくれます。
この章句が説くこと
教叱責信頼父子慎
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