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論語 / 憲問篇

「克、伐、怨、欲,不行焉,可以爲仁矣?」子曰:「可以爲難矣,仁則吾不知也。」

新字:「克、伐、怨、欲,不行焉,可以為仁矣?」子曰:「可以為難矣,仁則吾不知也。」

書き下し

「克・伐・怨・欲、行われずんば、以て仁と為す可きか。」子曰く、「以て難しと為す可し。仁は則ち吾知らざるなり。」

現代語訳

「人に勝とうとする心、自分の功を誇る心、人を怨む心、むさぼる心。この四つが表に出ないなら、仁と言えるでしょうか。」先生はおっしゃった。「難しいことだとは言える。仁かどうかは、私には分からない。」

解説

四つの悪い衝動を抑えている状態を、孔子は仁と認めなかった。難しいことではある、とだけ言う。抑えることと、無いことは違うという含みである。さらに言えば、仁は抑制ではなく積極的な働きだという立場が透けている。何かをしないことの積み重ねでは、仁には届かない。この区別は実務でも効く。不祥事を起こさない、規則を破らない、迷惑をかけない。どれも大切だが、それだけでは価値を生まない。しないことのリストが長い組織は、安全だが何も起こらない。孔子が「難しいとは言える」と一定の評価を与えたうえで、仁とは別だと線を引いたのは、抑制の価値を認めつつ、それを到達点にさせないためだろう。

この章句が説くこと

信頼言行一致抑制克伐怨欲コミットメント

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