慎思録 / 巻之三
鳥之欲飛者必伏。獸之欲搏者必屈。尺蠖之欲伸者亦必屈。人身夜裏熟睡。則來日有力。天地之運如冬間寒氣嚴肅。則伏藏無限陽氣。到來春。陽氣大發暢。生物繁茂。如冬間温煖陽氣發洩。則到來春發生之時。精神薄弱。所謂不翕聚。則不能發散也。是以君子平日無事時。靜養精力。以待有用之發動。如潜龍之在初九。所以致飛龍在天也。
新字:鳥之欲飛者必伏。獣之欲搏者必屈。尺蠖之欲伸者亦必屈。人身夜裏熟睡。則来日有力。天地之運如冬間寒気厳粛。則伏蔵無限陽気。到来春。陽気大発暢。生物繁茂。如冬間温煖陽気発洩。則到来春発生之時。精神薄弱。所謂不翕聚。則不能発散也。是以君子平日無事時。静養精力。以待有用之発動。如潜竜之在初九。所以致飛竜在天也。
書き下し
鳥の飛ばんと欲する者は必ず伏す。獣の搏たんと欲する者は必ず屈す。尺蠖の伸びんと欲する者も亦必ず屈す。人身夜裏熟睡すれば、則ち来日力有り。天地の運、冬間の寒気厳粛なれば、則ち伏蔵する陽気限り無く、来春に到りて、陽気大いに発暢し、生物繁茂するが如し。冬間温煖にして陽気発洩すれば、則ち来春発生の時に到りて、精神薄弱なるが如し。所謂翕聚せざれば、則ち発散する能はざるなり。是を以て君子は平日無事の時、精力を静養して、以て有用の発動を待つ。潜龍の初九に在るは、飛龍天に在るを致す所以なるが如し。
現代語訳
鳥が飛ぼうとするときは必ず身を伏せます。獣が襲いかかろうとするときは必ず身をかがめます。尺取虫が伸びようとするときも必ず身を縮めます。人の体は夜ぐっすり眠れば、翌日に力が出ます。天地のめぐりも、冬の間の寒気が厳しければ、しまい込まれる陽気は限りなく、春になると陽気が大いに伸びて生き物が茂るようなものです。冬の間が暖かく陽気が漏れ出てしまえば、春の芽吹きの時に勢いが弱いようなものです。いわゆる「収め集めなければ、発し散らすことはできない」です。それで君子は、平日に事のない時に精力を静かに養って、役立つ時の発動に備えるのです。『易』で潜む龍が初九にあることが、飛ぶ龍が天にあることを導くようなものです。
解説
この章句が説くこと
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