酔古堂剣掃 / 集綺・桑榆に暮景を憐れむ莫かれ
紅顏未老,早隨桃李嫁春風;黃卷將殘,莫向桑榆憐暮景。
新字:紅顔未老,早随桃李嫁春風;黄巻将残,莫向桑榆憐暮景。
書き下し
紅顏未だ老いざるに、早く桃李に隨ひて春風に嫁し、 黃卷將に殘せんとす、桑榆に向ひて暮景を憐れむ莫かれ。
現代語訳
美しい顔がまだ老いないうちに、早く桃や李の花とともに春風に嫁ぎなさい。書物を読み終える日も近いのですから、晩年に向かって夕暮れの景色を嘆き惜しむことのないようにしなさい。
解説
時を逃さず行動することを、若さと晩年の二つの場面で説いた一則です。前の句は、若く美しいうちに、桃や李の花が春風に吹かれて散るように、時を逃さず嫁ぐべきだと言います。唐の李賀の詩に、桃や李の花が仲人もなしに春風に嫁ぐと詠んだ句があります。後の句の黄巻は、昔の書物が虫よけの黄色い紙で作られたことから書物を指します。桑楡は、夕日が桑や楡の木の梢にかかることから晩年のたとえです。書を読み尽くす年になって、老いを嘆くようなことがないようにと戒めます。若いときには機を逃さず、老いてからは嘆かずに生きる。どちらも、今この時を大切に生きよという教えです。
この章句が説くこと
時機晩年青春処世読書
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