慎思録 / 巻之三
古人說學字。有兼知行言者。孔子曰。不如丘之好學。曰。我學不厭。曰。有曰顏回者。好學之類。是也。其餘往往以致知一邊言者居多矣。論語。子曰。學而不思則罔。曰。好仁不好學。其蔽也愚。曰。學而知之者次也。曰。多學而識之。曰。終日不食。終夜不寢。以思。無益。不如學也。子夏曰。博學而篤志。曰。雖曰未學。吾必謂之學矣。大學曰。如切如磋者。道學也。中庸曰。博學審問。孟子曰。博學詳說。易曰。學以聚之之類。皆講習討論之事。以致知言。古人之學。固以行爲重。然非先知之。則不能行。故古人能知者。必能行之。明陳剩夫曰。人於此學。若眞知之。則行在其中矣。篤信謂。古人說學。以知一邊言者多矣。又有以行言者。宜隨處而解。
新字:古人説学字。有兼知行言者。孔子曰。不如丘之好学。曰。我学不厭。曰。有曰顔回者。好学之類。是也。其余往往以致知一辺言者居多矣。論語。子曰。学而不思則罔。曰。好仁不好学。其蔽也愚。曰。学而知之者次也。曰。多学而識之。曰。終日不食。終夜不寝。以思。無益。不如学也。子夏曰。博学而篤志。曰。雖曰未学。吾必謂之学矣。大学曰。如切如磋者。道学也。中庸曰。博学審問。孟子曰。博学詳説。易曰。学以聚之之類。皆講習討論之事。以致知言。古人之学。固以行為重。然非先知之。則不能行。故古人能知者。必能行之。明陳剰夫曰。人於此学。若真知之。則行在其中矣。篤信謂。古人説学。以知一辺言者多矣。又有以行言者。宜随処而解。
書き下し
古人学の字を説くに、知行を兼ねて言ふ者有り。孔子曰く、丘の学を好むに如かざるなり、と。曰く、我学んで厭はず、と。曰く、顔回なる者有り、学を好む、と。の類、是れなり。其の余は往往致知の一辺を以て言ふ者居多なり。論語に、子曰く、学んで思はざれば則ち罔し、と。曰く、仁を好みて学を好まざれば、其の蔽や愚、と。曰く、学んで之を知る者は次なり、と。曰く、多く学んで之を識る、と。曰く、終日食はず、終夜寝ねず、以て思ふ、益無し、学ぶに如かざるなり、と。子夏曰く、博く学んで篤く志す、と。曰く、未だ学ばずと曰ふと雖も、吾は必ず之を学びたりと謂はん、と。大学に曰く、切するが如く磋するが如しとは、学を道ふなり、と。中庸に曰く、博く学び審らかに問ふ、と。孟子曰く、博く学んで詳らかに説く、と。易に曰く、学んで以て之を聚む、の類は、皆講習討論の事にして、致知を以て言ふ。古人の学は、固より行を以て重しと為す。然れども先づ之を知るに非ざれば、則ち行ふ能はず。故に古人の能く知る者は、必ず能く之を行ふ。明の陳剰夫曰く、人此の学に於て、若し真に之を知らば、則ち行其の中に在り、と。篤信謂ふ、古人学を説くに、知の一辺を以て言ふ者多し。又行を以て言ふ者有り。宜しく処に随ひて解すべし。
現代語訳
昔の人が「学」の字を説くとき、知ることと行うことを兼ねて言う場合があります。孔子の「私の学を好むのに及ばない」、「私は学んで飽きない」、「顔回という者がいて学を好んだ」の類がそれです。そのほかはしばしば知を極める一方の意味で言う場合が多いのです。『論語』の「学んで思わなければ暗い」、「仁を好んで学を好まなければ、その弊害は愚かさである」、「学んで知る者は次である」、「多く学んで覚える」、「一日中食べず一晩中寝ずに思ったが益がなかった、学ぶのに及ばない」、子夏の「広く学んで志を篤くする」、「まだ学んでいないと言っても、私は必ず学んだと言おう」、『大学』の「切るがごとく磨くがごとしとは、学ぶことを言う」、『中庸』の「広く学び詳しく問う」、『孟子』の「広く学んで詳しく説く」、『易』の「学んでそれを集める」の類は、みな講義し習い討論する事で、知を極める意味で言っています。昔の人の学問は、もちろん行うことを重んじました。しかしまず知らなければ行うことはできません。だから昔の人でよく知る者は、必ずよく行ったのです。明の陳真晟(剰夫)は「人がこの学問において、もし本当に知ったならば、行いはその中にある」と言いました。私(篤信)が思うに、昔の人が学を説くときは、知の一方で言う場合が多く、また行いで言う場合もあります。場所に応じて解釈すべきです。
解説
この章句が説くこと
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