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慎思録 / 巻之三

孔孟之立敎也。雖有其言不同。而其道即同也。孟子之言。皆是所以發明乎孔子之道也。其所以不同者。葢時然爾。或又聖賢之氣象。不能不殊也。

新字:孔孟之立教也。雖有其言不同。而其道即同也。孟子之言。皆是所以発明乎孔子之道也。其所以不同者。葢時然爾。或又聖賢之気象。不能不殊也。

書き下し

孔孟の教を立つるや、其の言同じからざる有りと雖も、而して其の道は即ち同じなり。孟子の言は、皆是れ孔子の道を発明する所以なり。其の同じからざる所以の者は、蓋し時然るのみ。或いは又聖賢の気象、殊ならざる能はざるなり。

現代語訳

孔子と孟子が教えを立てるにあたって、その言葉には違うところがあっても、その道は同じです。孟子の言葉は、みな孔子の道を明らかにするためのものです。違う理由は、思うに時代がそうさせたのです。あるいはまた、聖人と賢人の気風の違いは、どうしても出てしまうものなのです。

解説

孔子と孟子の言葉の違いを、道の違いではなく時代と気象の違いとして説明した一条です。孔子は春秋の世に仁を穏やかに説き、孟子は戦国の乱世に性善と仁義を激しく論じました。程子は孔子を「元気」、孟子を「泰山巌巌の気象」と評したことが『近思録』に見え、益軒の「気象殊ならざる能はず」もこれを踏まえます。同じ理念でも、時代や語り手によって表現が変わるのは自然なことです。表現の違いに惑わされず、根本にある考えを見抜く読み方を教えてくれます。

この章句が説くこと

孔子孟子気象

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