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慎思録 / 巻之三

學者之家。雖貧困。然藏書之多者。可以爲淸福也。朱子書藏詩曰。箇是儂家眞寶藏。猶不可羨滿篇金。是淸福者。優於不能讀書而財多者。

新字:学者之家。雖貧困。然蔵書之多者。可以為清福也。朱子書蔵詩曰。箇是儂家真宝蔵。猶不可羨満篇金。是清福者。優於不能読書而財多者。

書き下し

学者の家は、貧困なりと雖も、然れども蔵書の多き者は、以て清福と為すべきなり。朱子の書蔵の詩に曰く、箇は是れ儂が家の真の宝蔵、猶ほ満篇の金を羨むべからず、と。是れ清福なる者は、書を読むこと能はずして財多き者に優る。

現代語訳

学者の家は、貧しくても蔵書が多ければ、それを清らかな福とすべきです。朱子の書蔵の詩に「これこそわが家の本当の宝の蔵、箱いっぱいの金をうらやむことはない」とあります。この清らかな福は、書を読めずに財産の多い者よりも優れています。

解説

貧しくても本の多い家こそ清福だという、益軒の読書人としての喜びが素直に出た一条です。益軒は若い頃に浪人の苦しい時期も経験しましたが、生涯に膨大な書を集めて読み、晩年まで著述を続けました。引かれる朱子の詩句は、書物を真の宝蔵とする趣旨で、財産より学ぶ手段を持つことを尊ぶ価値観を示しています。お金で測れない豊かさとして、読むべき本が手元にあり、それを読む時間と力があることを挙げる視点は、今の私たちの暮らしの優先順位を見直すきっかけになります。

この章句が説くこと

読書清福蔵書学問

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