慎思録 / 巻之三
朱子曰。好人難得。好書亦難得。愚謂。朱子之言。豈不然乎。賢者以下。其言不純正者。信多矣。學者讀諸子百家書者。須取其長舍其短。庶乎爲得讀書之法。苟不察其好否。槩乎玩讀者。可謂迷也。
新字:朱子曰。好人難得。好書亦難得。愚謂。朱子之言。豈不然乎。賢者以下。其言不純正者。信多矣。学者読諸子百家書者。須取其長舎其短。庶乎為得読書之法。苟不察其好否。槩乎玩読者。可謂迷也。
書き下し
朱子曰く、好人得難く、好書も亦得難し、と。愚謂へらく、朱子の言、豈に然らざらんや。賢者以下、其の言純正ならざる者、信に多し。学者諸子百家の書を読む者は、須らく其の長を取り其の短を舎つべし。読書の法を得たりと為すに庶し。苟も其の好否を察せずして、概して玩読する者は、迷と謂ふべきなり。
現代語訳
朱子は「よい人は得がたく、よい書物もまた得がたい」と言いました。私が思うに、朱子の言葉はまさにそのとおりです。賢者より下の人の言葉には、純粋で正しくないものがまことに多いのです。学ぶ者が諸子百家の書を読むときは、その長所を取り短所を捨てなければなりません。そうしてこそ読書の方法を得たといえるでしょう。よしあしを見分けずに何でも一様に読みふける者は、迷っているというべきです。
解説
朱子の「好人得難く、好書も亦得難し」を引き、読書の選別を説きます。益軒は博学で知られ、本草・地誌・医学にまで及ぶ多くの書を読みましたが、何でも鵜呑みにするのではなく、長所を取り短所を捨てる読み方を求めました。これは朱子学の「格物窮理」、一つ一つの物事の理を見極める姿勢の読書版ともいえます。情報があふれる今、情報源のよしあしを確かめ、役立つ部分を選び取る力は、読書に限らず仕事の調べものにも欠かせない技術です。
この章句が説くこと
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