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慎思録 / 巻之二

滿天下之事物衆多。其理亦無窮。爲學而得逐一通曉于其理。而無可疑。是人生一大快事。其樂可無窮。然今之學者。不專一于究理之學。只爲訓詁詞章之閑勞擾。而空過一生了。不亦誤乎。

新字:満天下之事物衆多。其理亦無窮。為学而得逐一通暁于其理。而無可疑。是人生一大快事。其楽可無窮。然今之学者。不専一于究理之学。只為訓詁詞章之閑労擾。而空過一生了。不亦誤乎。

書き下し

天下に満つるの事物衆多なり。其の理も亦た窮まり無し。学を為して逐一其の理に通暁するを得て、疑ふべき無きは、是れ人生の一大快事なり。其の楽しみ窮まり無かるべし。然るに今の学者は、究理の学に専一ならず、只だ訓詁詞章の為に閑しく労擾して、空しく一生を過ごし了る。亦た誤りならずや。

現代語訳

天下に満ちている事物は数多く、その理もまた窮まりがありません。学問をして一つずつその理に通じて、疑わしい所がなくなるのは、人生の大いなる快事です。その楽しみは限りないでしょう。ところが今の学者は、理を究める学問に専念せず、ただ字句の注釈や詩文のためにむだに苦労して、むなしく一生を過ごしてしまいます。なんと誤っていることでしょう。

解説

理を一つずつ明らかにすることを人生の大きな喜びとし、注釈や詩文に一生を費やす学者を惜しんだ条です。二・三十一の程子の「多少の快活」と同じ主題で、益軒の学問観の中心にある考えです。朱子学の「窮理」は、物事の道理を一つずつ究めることを指します。仕事でも、目の前の作業を片づけるだけで一日を終えず、なぜそうなるのかを一つずつ理解していくと、学ぶことそのものが喜びになります。何に時間を使うかを問い直させる一条です。

この章句が説くこと

窮理快事学問訓詁

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