慎思録 / 巻之二
禽獸知愛己。而不知愛物。是由于不仁。故無禮無義。此禽獸之道也。人道則不然。愛己又愛人。是此由有仁。是以有禮有義。是人與禽獸之所由分也。人苟便于己而無禮。利於己無義。則與禽獸何異乎哉。
新字:禽獣知愛己。而不知愛物。是由于不仁。故無礼無義。此禽獣之道也。人道則不然。愛己又愛人。是此由有仁。是以有礼有義。是人与禽獣之所由分也。人苟便于己而無礼。利於己無義。則与禽獣何異乎哉。
書き下し
禽獣は己を愛することを知りて、物を愛することを知らず。是れ不仁に由る。故に礼無く義無し。此れ禽獣の道なり。人道は則ち然らず。己を愛し又人を愛す。是れ此れ仁有るに由る。是を以て礼有り義有り。是れ人と禽獣との由りて分かるる所なり。人苟も己に便にして礼無く、己に利ありて義無ければ、則ち禽獣と何ぞ異ならんや。
現代語訳
禽獣は自分を愛することは知っていても、他の物を愛することは知りません。これは仁がないからです。だから礼もなく義もありません。これが禽獣の道です。人の道はそうではありません。自分を愛し、また人を愛します。これは仁があるからです。だから礼があり義があります。これが人と禽獣とが分かれる所です。人がもし自分に都合がよければ礼を欠き、自分に利があれば義を欠くなら、禽獣と何が違いましょうか。
解説
人と禽獣を分けるのは、自分だけでなく人を愛する仁があるかどうかだ、という条です。自分を愛すること自体は否定せず、そこに人への愛を加えるのが人の道だとする点が穏やかです。二・四十四の「人の禽獣に異なる所以」(『孟子』離婁下)と同じ主題で、仁から礼と義が生まれるという順序を示しています。自分の都合や利益で礼儀や筋を曲げていないか。職場や取引で損得に流れそうになった時に、自分を振り返る短い問いとして使えます。
この章句が説くこと
仁礼義人道愛
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