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五常訓 / 巻之二・仁之上

一仁は義禮智信を兼ねて其中にあれども、五の者をならべ云ふ時は、各一理ありて、仁を相助くべし。仁の理、義を得ざれば宜しく行はれず。禮を得ざれば節分なくして立たず。智を得ざれば善惡を明かに知らず。信を得ざれば僞りありて守りがたし。四の者皆そなはりて、仁の道行はる。然れば義禮智信は、もと仁より出でて、仁をたすくる理なり。

新字:一仁は義礼智信を兼ねて其中にあれども、五の者をならべ云ふ時は、各一理ありて、仁を相助くべし。仁の理、義を得ざれば宜しく行はれず。礼を得ざれば節分なくして立たず。智を得ざれば善悪を明かに知らず。信を得ざれば偽りありて守りがたし。四の者皆そなはりて、仁の道行はる。然れば義礼智信は、もと仁より出でて、仁をたすくる理なり。

書き下し

一仁は義礼智信を兼ねて其中にあれども、五の者をならべ云ふ時は、各一理ありて、仁を相助くべし。仁の理、義を得ざれば宜しく行はれず。礼を得ざれば節分なくして立たず。智を得ざれば善悪を明かに知らず。信を得ざれば偽りありて守りがたし。四の者皆そなはりて、仁の道行はる。然れば義礼智信は、もと仁より出でて、仁をたすくる理なり。

現代語訳

仁は義礼智信をかねてその中にありますが、五つを並べていうときは、それぞれ一つの理があって、仁を助けるものです。仁の理は、義を得なければ宜しく行われません。礼を得なければ節度や分限がなくて立ちません。智を得なければ善悪を明らかに知りません。信を得なければ偽りがあって守りにくいのです。四つのものがみな備わって、仁の道が行われます。それゆえ義礼智信は、もともと仁から出て、仁を助ける理です。

解説

仁は他の四徳をかねるが、並べて見れば義・礼・智・信はそれぞれ仁を助ける役割を持つと説いています。義がなければ仁は宜しく行われず、礼がなければ節度を失い、智がなければ善悪を見分けられず、信がなければ守り通せないという整理は明快です。優しさだけでは甘やかしになり、筋を通す判断、けじめ、見極め、誠実さがそろって初めて本物の思いやりになるという考えは、子育てや部下指導の場面でとても実践的な指針になります。

この章句が説くこと

仁義礼智信

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