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慎思録 / 巻之二

天道福善禍淫。作善降之百祥。作不善降之百殃者。此與四時之循序。風雨順時。災害不興。同是一理。天道之常理也。可爲正命也。君子遇災禍。小人得福祿者。非天道之常理。此與四時之失序。風雨不時。有災沴疾疫者。同是一理。不可爲正命也。然正與不正。亦無非命。是皆天之所命。陰陽之所作。當順受而已。

新字:天道福善禍淫。作善降之百祥。作不善降之百殃者。此与四時之循序。風雨順時。災害不興。同是一理。天道之常理也。可為正命也。君子遇災禍。小人得福禄者。非天道之常理。此与四時之失序。風雨不時。有災沴疾疫者。同是一理。不可為正命也。然正与不正。亦無非命。是皆天之所命。陰陽之所作。当順受而已。

書き下し

天道は善に福し淫に禍す。善を作せば之に百祥を降し、不善を作せば之に百殃を降す者は、此れ四時の序に循ひ、風雨時に順ひ、災害興らざると、同じく是れ一理なり。天道の常理なり。正命と為すべきなり。君子災禍に遇ひ、小人福禄を得る者は、天道の常理に非ず。此れ四時の序を失ひ、風雨時ならず、災沴疾疫有ると、同じく是れ一理なり。正命と為すべからざるなり。然れども正と不正と、亦た命に非ざる無し。是れ皆天の命ずる所、陰陽の作す所なり。当に順受すべきのみ。

現代語訳

天の道は善に福を与え、淫らな者に禍を与えます。善を行えば多くの幸いを降し、不善を行えば多くの災いを降すのは、四季が順序に従い、風雨が時にかない、災害が起こらないのと同じ一つの理です。天の道の常の理であり、正しい命(正命)とすべきものです。君子が災禍にあい、小人が福禄を得るのは、天の道の常の理ではありません。四季が順序を失い、風雨が時にかなわず、災いや疫病があるのと同じ一つの理です。正命とすべきではありません。しかし正しいものも正しくないものも、命でないものはありません。みな天の命じたもの、陰陽のなしたものです。素直に受け入れるほかはありません。

解説

善人が不幸にあい悪人が栄えるという矛盾を、四季の順と不順にたとえて説いた条です。「天道は善に福し淫に禍す」は『書経』湯誥篇、「善を作せば之に百祥を降す」は伊訓篇の言葉です。「正命」「順受」は『孟子』尽心上の「命に非ざる莫し、順に其の正を受く」を踏まえています。報われない時にも天を恨まず受け入れよ、という教えは、努力が結果に結びつかない時に、自分を責めすぎず腐らずにいるための支えになるでしょう。

この章句が説くこと

天命正命禍福順受天道

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