童子問 / 卷下
問。於知命之說。未能釋然。願發其奥旨。曰。蓬生麻中。不能不直。天道正直。四旁上下。渾渾淪淪。通徹無間。莫非斯理。近火則焦。近水則濡。豈得以不正不直須臾置身於其間乎。孔子曰。君子畏天命。小人不知天命。而不畏也。其畏之者。以實可畏怖。而有不可慢之理也。葢夫子五十知天命。以後初置語如此。不作一毫聰明。不挾一毫智見。至誠正直。內外表裏。打成一片。而後可以自得。非可以聰明智見而得之也。
新字:問。於知命之説。未能釈然。願発其奥旨。曰。蓬生麻中。不能不直。天道正直。四旁上下。渾渾淪淪。通徹無間。莫非斯理。近火則焦。近水則濡。豈得以不正不直須臾置身於其間乎。孔子曰。君子畏天命。小人不知天命。而不畏也。其畏之者。以実可畏怖。而有不可慢之理也。葢夫子五十知天命。以後初置語如此。不作一毫聰明。不挟一毫智見。至誠正直。内外表裏。打成一片。而後可以自得。非可以聰明智見而得之也。
書き下し
問ふ、知命の説に於て、未だ釈然たること能はず。願はくは其の奥旨を発せよ。曰く、蓬も麻中に生ずれば、直からざること能はず。天道は正直にして、四旁上下、渾渾淪淪として、通徹して間無く、斯の理に非ざる莫し。火に近づけば則ち焦げ、水に近づけば則ち濡る。豈に不正不直を以て須臾も身を其の間に置くことを得んや。孔子曰く、君子は天命を畏る。小人は天命を知らずして畏れずと。其の之を畏るる者は、実に畏怖すべくして、慢るべからざるの理有るを以てなり。蓋し夫子五十にして天命を知り、以後初めて語を置くこと此くのごとし。一毫の聡明を作さず、一毫の智見を挟まず、至誠正直にして、内外表裏、打して一片と成り、而る後に以て自得すべし。聡明智見を以て之を得べきに非ざるなり。
現代語訳
問う。天命を知るという説について、まだすっきり納得できない。その奥深い趣旨を明らかにしていただきたい。答える。蓬(よもぎ)も麻の中に生えれば、まっすぐにならざるをえない。天の道は正直であり、四方上下に満ちあふれ、すみずみまで行き渡って隙間がなく、この理でないものはない。火に近づけば焦げ、水に近づけば濡れる。どうして不正や不直のままで、わずかの間でもその中に身を置いていられようか。孔子は「君子は天命を畏れる。小人は天命を知らないので畏れない」と言った。君子が天命を畏れるのは、実に畏れおののくべきであって、侮ってはならない理があるからである。思うに夫子は五十歳で天命を知り、それ以後になってはじめてこのような言葉を述べた。少しの聡明さも振りかざさず、少しの知恵や見識も差しはさまず、至誠正直で内も外も表も裏も一つになって、そのうえでようやく自得できるのである。聡明さや知恵によって得られるものではない。
解説
この章句が説くこと
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