慎思録 / 巻之二
心者。人之神明。衆理具焉。而萬事出矣。人之所以爲萬物之靈者。惟在此而已矣。是爲身之主。而在乎中。所以役使耳目鼻口之外形者也。譬如君之使臣然。故名之爲天君。仁義禮智之所會。而爲性之郛郭。須極崇奉而善安養之。尊之如天。敬之如神。勿使耳目口體情意之欲苦吾天君。苟天君爲外形所役。則猶以臣使君然。以爲悖逆之事。宜使靈臺長安泰。天君常和樂。
新字:心者。人之神明。衆理具焉。而万事出矣。人之所以為万物之霊者。惟在此而已矣。是為身之主。而在乎中。所以役使耳目鼻口之外形者也。譬如君之使臣然。故名之為天君。仁義礼智之所会。而為性之郛郭。須極崇奉而善安養之。尊之如天。敬之如神。勿使耳目口体情意之欲苦吾天君。苟天君為外形所役。則猶以臣使君然。以為悖逆之事。宜使霊台長安泰。天君常和楽。
書き下し
心は人の神明なり。衆理具はりて、万事出づ。人の万物の霊為る所以の者は、惟だ此に在るのみ。是れ身の主為りて、中に在り。耳目鼻口の外形を役使する所以の者なり。譬へば君の臣を使ふが如く然り。故に之に名づけて天君と為す。仁義礼智の会する所にして、性の郛郭為り。須らく極めて崇奉して善く之を安養すべし。之を尊ぶこと天の如く、之を敬ふこと神の如くし、耳目口体情意の欲をして吾が天君を苦しましむること勿かれ。苟も天君外形の役する所と為らば、則ち猶ほ臣を以て君を使ふがごとく然り。以て悖逆の事と為す。宜しく霊台をして長く安泰ならしめ、天君をして常に和楽ならしむべし。
現代語訳
心は人の霊妙なはたらきです。多くの理がそなわり、あらゆる事がそこから出てきます。人が万物の霊長である理由は、ただここにあるだけです。心は身の主人であり、体の中にあって、耳・目・鼻・口という外の形を使うものです。たとえば君主が臣下を使うようなものです。だからこれを天君と名づけます。仁義礼智の集まる所であり、性を囲む城郭です。極めて尊び奉って、よく安らかに養わなければなりません。天のように尊び、神のように敬い、耳目口体や感情・意欲の欲によって、わが天君を苦しめてはなりません。もし天君が外の形に使われるなら、臣下が君主を使うようなもので、道に背くことです。霊台(心)をいつまでも安らかにし、天君をいつも和やかで楽しくさせるべきです。
解説
この章句が説くこと
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