呻吟語 / 内篇・修身・心を大にし虛にし平にし潛め定む
大其心容天下之物,虛其心受天下之善,平其心論天下之事,潛其心觀天下之理,定其心應天下之變。
新字:大其心容天下之物,虚其心受天下之善,平其心論天下之事,潜其心観天下之理,定其心応天下之変。
書き下し
其の心を大にして天下の物を容れ、其の心を虛にして天下の善を受け、其の心を平にして天下の事を論じ、其の心を潛めて天下の理を觀、其の心を定めて天下の變に應ず。
現代語訳
心を大きくして天下の物を容れ、心を空にして天下の善を受け、心を平らにして天下の事を論じ、心を沈めて天下の理を観、心を定めて天下の変化に応じます。
解説
心の使い方を五つの動詞で並べた、呻吟語でも有名な一段です。容れる時は大きく、受ける時は空に、論じる時は平らに、観る時は沈め、応じる時は定める。場面ごとに心の形が変わっている点が肝で、いつも同じ構えでいればよいとは言っていません。何をしようとしているかによって、心をどう整えるかが決まる。実に実用的な五つの構えです。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
心度量虚心平心定心
関連する章句
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『格言聯璧』存養類・其の心を大にして天下の物を容る其の心を大にして、天下の物を容る。其の心を虚にして、天下の善を受く。其の心を平かにして、天下の事を論ず。其の心を潛めて、天下の理を觀る。其の心を定めて、天下の變に應ず。清明以て吾が神を養ひ、湛一以て吾が慮を養ひ、沈警以て吾が識を養ひ、剛大以て吾が氣を養ひ、果斷以て吾が才を養ひ、凝重以て吾が度を養ひ、寬裕以て吾が量を養ひ、嚴冷以て吾が操を養ふ。
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『洗心洞箚記』卷下・第百二十九條又曰く、書を観るには但だ当に虚心平気にして、以て徐ろに義理の在る所を観るべし。如し其れ取るべくんば、世俗庸人の言と雖も、廃せざる所有り。如し其れ疑ふべくんば、我が伝へて以て聖賢の言と為すと雖も、亦須らく更に審択を加ふべし、と。又曰く、秦漢以来、道学伝はらず、儒者己に反り心を潜むるを知らずして、一に記覧誦説を以て事と為す。是を以て有道の君子深く以て憂ひと為す。然れども亦未だ嘗て遂に書を束ねて読まず、坐して空妙を談ずるを以て、以て聞く有るを徼幸すべしと為さざるなり、と。又曰く、学を為して書を観ざるは、此れ固より一偏の論なり。然れども近日又一般の学問有り、経を廃して史を治め、王道を略して霸術を尊び、古今興亡の変を極論して、此の心存亡の端を察せず。若し祇だ此くの如く書を読まば、則ち又読まざるの愈れりと為すに若かず。況や又中年は精力限り有り。其の汎く観て博く取らんよりは、熟読して精思するに若かず。尺を得れば吾が尺、寸を得れば吾が寸、始めて功力を枉げ用ひずと為すのみ、と。
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『洗心洞箚記』卷上・第九十二條天地の道は、一順一逆のみ。如し順境ならば、則ち心虚に帰せざる者と雖も、亦善く応ず。而して逆境に至れば、則ち心虚に帰する者に非ずんば、之に応ずるに足らざるなり。姑く論語の首章を以て言へば、則ち学習朋来は即ち順境、故に猶ほ易し。而して人知らずして慍らざるは即ち逆境、故に難し。然り而して虚心の君子之に処すれば、則ち又猶ほ順境と異なる無し。其の他此を以て類知すべきなり。
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『酔古堂剣掃』集法・人の詐りを覺るも言に形さず人の詐りを覺るも、言に形さず。人の侮りを受くるも、色に動かさず。此の中に無窮の意味有り、亦た無窮の受用有り。
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『酔古堂剣掃』集醒・內は精明にして外は渾厚好醜の心太だ明らかなれば、則ち物契はず。賢愚の心太だ明らかなれば、則ち人親しまず。須らく是れ內は精明にして、外は渾厚、好醜をして兩つながら其の平を得しめ、賢愚をして共に其の益を受けしむべし。纔かに是れ生成の德量なり。
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史記 項羽本紀其の後に最(あつ)まりて、郎中騎楊喜、騎司馬呂馬童、郎中呂勝・楊武各々其の一体を得たり。五人共に其の体を会するに、皆是なり。故に其の地を分かちて五と為し、呂馬童を封じて中水侯と為し、王翳を封じて杜衍侯と為し、楊喜を封じて赤泉侯と為し、楊武を封じて呉防侯と為し、呂勝を封じて涅陽侯と為す。項王已に死し、楚の地皆漢に降る、独り魯のみ下らず。漢乃ち天下の兵を引きて之を屠らんと欲す、其の礼義を守り、主の為に節に死するが為に、乃ち項王の頭を持ちて魯に視(しめ)す、魯の父兄乃ち降る。始め、楚の懐王初めて項籍を封じて魯公と為す、其の死するに及びて、魯最後に下る、故に魯公の礼を以て項王を穀城に葬る。漢王為に哀を発し、之に泣きて去る。諸々の項氏の枝属、漢王皆誅せず。乃ち項伯を封じて射陽侯と為す。桃侯・平皋侯・玄武侯は皆項氏なり、姓劉氏を賜ふ。太史公曰く、吾之を周生に聞く、曰く「舜の目は蓋し重瞳子なり」と、又聞く項羽も亦重瞳子なりと。羽豈に其の苗裔ならんや。何ぞ興ることの暴かなるや。夫れ秦其の政を失ひ、陳渉難を首め、豪傑蠭起し、相与に并び争ふこと、勝げて数ふべからず。