慎思録 / 巻之二
古人之葬親。其宅兆。安厝之。程子曰。地之美者。則其神靈安。其子孫盛。若培壅其根。而枝葉茂。其理當然矣。地之惡者。則反是。
新字:古人之葬親。其宅兆。安厝之。程子曰。地之美者。則其神霊安。其子孫盛。若培壅其根。而枝葉茂。其理当然矣。地之悪者。則反是。
書き下し
古人の親を葬るや、其の宅兆に、之を安厝す。程子曰く、地の美なる者は、則ち其の神霊安らかに、其の子孫盛んなり。其の根を培壅して、枝葉茂るが若し、と。其の理当に然るべし。地の悪しき者は、則ち是に反す。
現代語訳
昔の人は親を葬るとき、その墓所に安らかに納めました。程子は「土地の良い所なら、その神霊は安らかで、その子孫は栄える。根に土を寄せて養えば、枝葉が茂るようなものだ」と言いました。その理はまことにそのとおりです。土地の悪い所なら、これと反対になります。
解説
親を葬る土地の良し悪しについて、程頤の「葬説」の言葉を引いた短い条で、次の条と一続きに読まれるものです。程子は、風水の吉凶の術ではなく、土地が良ければ遺体が安らかで、それが子孫の心の安らぎにつながる、という道理として説きました。根を養えば枝葉が茂るという比喩は、祖先と子孫を木の根と枝に見立てる儒教の孝の考え方そのものです。先祖の墓を大切にする習慣の背景にある考えを知る手がかりになります。
この章句が説くこと
孝葬礼程子根本子孫
関連する章句
-
論語・為政篇子游孝を問う。子曰く、「今の孝者は、是れ能く養うと謂う。犬馬に至るまで、皆能く養うこと有り。敬せずんば、何を以て別たんや。」
-
論語・為政篇子夏孝を問う。子曰く、「色難し。事有れば弟子其の労に服し、酒食有れば先生に饌(まかな)う。曾て是を以て孝と為さんや。」
-
論語・学而篇子曰く、「父在せば其の志を観、父没すれば其の行いを観る。三年父の道を改むること無くんば、孝と謂う可し。」
-
論語・為政篇孟懿子孝を問う。子曰く、「違(たが)うこと無かれ。」樊遅御(ぎょ)す。子之に告げて曰く、「孟孫我に孝を問う。我対えて曰く、違(たが)うこと無かれと。」樊遅が曰く、「何の謂(いい)ぞや。」子曰く、「生きては之に事(つか)うるに礼を以てし、死しては之を葬るに礼を以てし、之を祭るに礼を以てす。」
-
論語・為政篇孟武伯孝を問う。子曰く、「父母は唯其の疾(やまい)を之憂う。」
-
論語・里仁篇子曰く、三年父の道を改むること無きは、孝と謂う可し。