慎思録 / 巻之二
讀前句如無後句。讀此書如無他書。凡讀書之法。須專一如此。庶乎有得。人知天地萬物皆爲一體。則人我忌克之念自熄。慈愛憐怛之心自生。物與我無間隔。此爲仁之工夫。
新字:読前句如無後句。読此書如無他書。凡読書之法。須専一如此。庶乎有得。人知天地万物皆為一体。則人我忌克之念自熄。慈愛憐怛之心自生。物与我無間隔。此為仁之工夫。
書き下し
前句を読みては後句無きが如くし、此の書を読みては他書無きが如くす。凡そ読書の法、須らく専一なること此くの如くすべし。庶はくは得ること有らん。人、天地万物皆一体為ることを知れば、則ち人我忌克の念自ら熄み、慈愛憐怛の心自ら生ず。物と我と間隔無し。此れ仁を為すの工夫なり。
現代語訳
前の句を読むときは後の句が無いかのように読み、この書を読むときは他の書が無いかのように読みます。およそ読書の方法は、このように専一でなければなりません。そうすれば得るところがあるでしょう。人は天地万物がみな一体であることを知れば、他人と自分とを分けて妬みいがみ合う思いが自然にやみ、慈しみあわれむ心が自然に生まれます。物と自分との間に隔てがなくなります。これが仁を行う工夫です。
解説
前半は読書の心得、後半は仁の工夫で、底本では二つの条が一単位にまとまっています。前半は朱子の読書法(『朱子語類』読書法)に見える「前を読んで後を知らず」の趣旨で、一つに集中することを説きます。後半は程顥の「仁者は天地万物を以て一体と為す」を踏まえ、妬みや対抗心は自他を隔てる心から生まれると見ます。あれこれ手を広げて何も身につかないとき、また人と比べて苦しいとき、どちらにも効く処方箋です。
この章句が説くこと
読書専一仁一体慈愛
関連する章句
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