慎思録 / 巻之二
年彌高。而德彌邵者。君子之事也。聖人言君子上達。小人下達。又曰。及其老也。血氣既衰。戒之在得。我輩到老。心志亦增衰弱。恐不覺到下達。須愼晚節。而激昂不廢怠。馬援曰。老當益壯。葢世人壯歲。則雖激厲謹名檢。然而不保晩節者多矣。古人謂要之死日。是非乃定者。非虛語也。故韓魏公曰。保初節易。保晩節難。故晩節事事尤著力。所立特全。
新字:年弥高。而徳弥邵者。君子之事也。聖人言君子上達。小人下達。又曰。及其老也。血気既衰。戒之在得。我輩到老。心志亦增衰弱。恐不覚到下達。須慎晩節。而激昂不廃怠。馬援曰。老当益壮。葢世人壮歳。則雖激厲謹名検。然而不保晩節者多矣。古人謂要之死日。是非乃定者。非虚語也。故韓魏公曰。保初節易。保晩節難。故晩節事事尤著力。所立特全。
書き下し
年弥々高くして、徳弥々邵き者は、君子の事なり。聖人言ふ、君子は上達し、小人は下達す、と。又曰く、其の老ゆるに及んでや、血気既に衰ふ、之を戒むること得に在り、と。我が輩老に到りて、心志も亦た衰弱を増す。恐らくは覚えずして下達に到らん。須らく晩節を慎みて、激昂して廃怠せざるべし。馬援曰く、老いては当に益々壮んなるべし、と。蓋し世人壮歳には、則ち激厲して名検を謹むと雖も、然れども晩節を保たざる者多し。古人謂ふ、之を死する日に要して、是非乃ち定まる、と。虚語に非ざるなり。故に韓魏公曰く、初節を保つは易く、晩節を保つは難し、と。故に晩節の事事尤も力を著く。立つる所特に全し。
現代語訳
年がいよいよ高くなり、徳がいよいよ高まるのは、君子の在り方です。孔子は「君子は上に達し、小人は下に達する」と言い、また「老年になると血気がすでに衰えるので、戒めるべきは欲得にある」と言いました。私どもも老いると、心や志もまた弱まっていきます。気づかぬうちに下に落ちていくおそれがあります。晩年の節操を慎み、奮い立って怠らないようにしなければなりません。馬援は「老いてはますます盛んであるべきだ」と言いました。思うに世の人は、壮年のころは励んで名誉と身の検束を慎んでも、晩節を保てない者が多いのです。古人が「死ぬ日になって、はじめてその人の是非が定まる」と言ったのは、でたらめではありません。だから韓魏公は「初めの節を保つのはやさしく、晩節を保つのは難しい」と言いました。それで晩年にはことごとくに特に力を入れ、その立てた所が特に全うされたのです。
解説
この章句が説くこと
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