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慎思録 / 巻之一

看書。不要貪多。只須要熟讀精思。而體認道理。是欲自得之也。孟子曰。親親而仁民。仁民而愛物。三者。仁愛之理一也。然自有親疏。故施之之道。自有輕重如此。是分殊也。蓋理一者仁也。分殊者義也。義也者。仁之所宜輕重也。

新字:看書。不要貪多。只須要熟読精思。而体認道理。是欲自得之也。孟子曰。親親而仁民。仁民而愛物。三者。仁愛之理一也。然自有親疏。故施之之道。自有軽重如此。是分殊也。蓋理一者仁也。分殊者義也。義也者。仁之所宜軽重也。

書き下し

書を看るには、多きを貪ることを要せず。只須らく熟読精思して、道理を体認することを要すべし。是れ之を自得せんと欲するなり。孟子曰く、親を親しみて民を仁し、民を仁して物を愛すと。三者は、仁愛の理一なり。然れども自ら親疎有り。故に之を施すの道、自ら軽重有ること此くの如し。是れ分殊なり。蓋し理一なる者は仁なり。分殊なる者は義なり。義なる者は、仁の宜しく軽重すべき所なり。

現代語訳

本を読むには、多く読むことを貪る必要はありません。ただよく読み込み、細かく考えて、道理を身をもって理解することが必要です。これが自分で会得しようとすることです。孟子は「親を親しんで民に仁を施し、民に仁を施して物を愛する」と言いました。この三つは、仁愛の理としては一つです。しかし自ずと親しい疎いの違いがあります。だからそれを施す道には、自ずとこのように軽重があるのです。これが分殊です。理が一つであるのが仁であり、分が異なるのが義です。義とは、仁をどう軽重をつけて施すのがふさわしいかということです。

解説

読書の心得と、朱子学の要語「理一分殊」の説明を並べた条です。理一分殊は、程伊川が張載の『西銘』を評して用いた言葉で、万物を貫く理は一つでも、現れ方はそれぞれ異なるという考えです。益軒は『孟子』尽心上篇の、親から民へ、民から物へという仁の広がりを例に、愛は一つでも施し方に軽重があり、その軽重を定めるのが義だと説きます。誰にでも同じように接するのが公平とは限りません。相手との関係に応じた適切な尽くし方を考えることが大切なのです。

この章句が説くこと

理一分殊読書孟子

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