導師導古典を学びたいすべての人に

新論 / 長計

古人有言、國之大事、在祀與戎、戎有一定之略、祀爲不拔之業、實國家之大事、所以大觀天下、通視萬世、立一定不易之長策者如此矣、夫明國體、審形勢、察虜情、修守禦、而立長計、實 聖子神孫所以報 皇祖天神之大孝、而 幕府邦君所以濟萬姓施無窮之大忠、臣謹著五論、非臣私言也、天地鬼神將與聽之矣、

新字:古人有言、国之大事、在祀与戎、戎有一定之略、祀為不抜之業、実国家之大事、所以大観天下、通視万世、立一定不易之長策者如此矣、夫明国体、審形勢、察虜情、修守禦、而立長計、実 聖子神孫所以報 皇祖天神之大孝、而 幕府邦君所以済万姓施無窮之大忠、臣謹著五論、非臣私言也、天地鬼神将与聴之矣、

書き下し

古人言へる有り、国の大事は、祀と戎とに在りと。戎に一定の略有り、祀は不抜の業たり、実に国家の大事にして、天下を大観し、万世を通視して、一定不易の長策を立つる所以の者此くの如し。夫れ国体を明らかにし、形勢を審かにし、虜情を察し、守禦を修めて、長計を立つるは、実に聖子神孫の皇祖天神に報ゆる所以の大孝にして、幕府・邦君の万姓を済ひ無窮に施す所以の大忠なり。臣謹んで五論を著す。臣の私言に非ざるなり。天地鬼神将に与に之を聴かんとす。

現代語訳

古人の言葉に「国の大事は祭祀と軍事にある」とある。軍事には一定の戦略があり、祭祀は揺るがない事業であって、まことに国家の大事であり、天下を大きく見渡し、万世を通して見て、一定不変の長い策を立てるのはこのようなものである。そもそも国体を明らかにし、形勢を詳しく調べ、外夷の実情を察し、守りを整えて、長い計を立てることは、まことに聖なる子孫が皇祖・天神に報いる大いなる孝であり、幕府と大名が万民を救い限りなく恩恵を施す大いなる忠である。私は謹んでこの五論を著した。私個人の言葉ではない。天地の鬼神もまた共にこれを聴くであろう。

解説

『新論』本文の結びである。「国の大事は祀と戎に在り」は『春秋左氏伝』成公十三年の語で、正志斎は長計で論じた祭祀を不抜の業、守禦の戦略を一定の略として、この二つを国家の大事に据える。そして国体・形勢・虜情・守禦・長計の五論を、皇室にとっての大孝、幕府と大名にとっての大忠と位置づけ、私言ではないと結ぶ。藩主徳川斉脩へ献じた本書は、のちに尊王攘夷の志士たちに広く読まれた。現代でいえば、守りの戦略と人心の拠りどころを両輪とし、天下と万世を見渡して長期の構想を立てる、という骨組みである。

この章句が説くこと

長計祭祀国体大忠大孝左伝

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る