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新論 / 國體上

御禊所以致潔也、 天皇徒跣不警蹕、敬之至也、日蔭鬘帛御衣、至敬無文也、當 天祖傳位之日、使天兒屋出納 帝命、天太玉供奉百事、兒屋之後爲中臣氏、太玉之後爲齋部氏、故祭之日、中臣奏 天神之壽詞、齋部奉神璽之鏡劍、累世奕葉、必仍當初之儀、猶新受命於 天祖也、〈 天祖使兒屋太玉等五部神侍 皇孫、建神籬、以護衛 皇孫、猶天上之儀、神武帝平天下、亦建神籬、令兒屋孫種子太玉孫天富、奉鏡劍陳幣帛、而 歴世所遵奉、莫非是儀也、及 崇神帝祭 天祖於笠縫、以石凝姥嘗事天祖而鑄鏡、目一箇爲作金者、故命齋部、率二氏之後、摸造鏡劍、以奉安殿内、即踐祚日齋部所奉之物是也、其永存舊物、不敢失墜如是矣、〉

新字:御禊所以致潔也、 天皇徒跣不警蹕、敬之至也、日蔭鬘帛御衣、至敬無文也、当 天祖伝位之日、使天児屋出納 帝命、天太玉供奉百事、児屋之後為中臣氏、太玉之後為斎部氏、故祭之日、中臣奏 天神之寿詞、斎部奉神璽之鏡剣、累世奕葉、必仍当初之儀、猶新受命於 天祖也、〈 天祖使児屋太玉等五部神侍 皇孫、建神籬、以護衛 皇孫、猶天上之儀、神武帝平天下、亦建神籬、令児屋孫種子太玉孫天富、奉鏡剣陳幣帛、而 歴世所遵奉、莫非是儀也、及 崇神帝祭 天祖於笠縫、以石凝姥嘗事天祖而鋳鏡、目一箇為作金者、故命斎部、率二氏之後、摸造鏡剣、以奉安殿内、即践祚日斎部所奉之物是也、其永存旧物、不敢失墜如是矣、〉

書き下し

御禊は潔を致す所以なり。天皇徒跣して警蹕せざるは、敬の至りなり。日蔭鬘・帛御衣は、至敬にして文無きなり。天祖位を伝ふるの日に当り、天児屋をして帝命を出納せしめ、天太玉をして百事に供奉せしむ。児屋の後を中臣氏と為し、太玉の後を斎部氏と為す。故に祭の日、中臣は天神の寿詞を奏し、斎部は神璽の鏡剣を奉る。累世奕葉、必ず当初の儀に仍る。猶ほ新たに命を天祖に受くるがごときなり。(天祖、児屋・太玉等五部の神をして皇孫に侍せしめ、神籬を建て、以て皇孫を護衛すること、猶ほ天上の儀のごとし。神武帝天下を平らぐるや、亦神籬を建て、児屋の孫種子・太玉の孫天富をして、鏡剣を奉じ幣帛を陳ねしむ。而して歴世遵奉する所、是の儀に非ざるは莫し。崇神帝の天祖を笠縫に祭るに及び、石凝姥嘗て天祖に事へて鏡を鋳、目一箇作金者と為りしを以て、故に斎部に命じ、二氏の後を率ゐて、鏡剣を摸造し、以て殿内に奉安せしむ。即ち践祚の日に斎部の奉る所の物是れなり。其の永く旧物を存し、敢へて失墜せざること是くの如し。)

現代語訳

御禊(みそぎ)は清らかさを尽くすためのものである。天皇がはだしで歩き、先払いの声を立てさせないのは、敬いの極みである。日蔭の鬘(かずら)や白絹の御衣を用いるのは、最上の敬いには飾りがないからである。天祖が位を伝えた日に、天児屋命に天の命令の取り次ぎをさせ、天太玉命にあらゆる事に奉仕させた。児屋の子孫が中臣氏となり、太玉の子孫が斎部氏となった。だから祭の日には、中臣氏が天神の寿詞(祝福の言葉)を奏上し、斎部氏が神璽である鏡と剣を捧げる。代々にわたって必ず当初の儀式に従うのは、あたかも新たに天祖から命を受けるかのようである。(天祖は児屋・太玉ら五部の神を皇孫に仕えさせ、神籬(神の宿る垣)を建てて皇孫を護衛させたが、これは天上の儀と同じであった。神武天皇が天下を平定したときも神籬を建て、児屋の孫の天種子命と太玉の孫の天富命に、鏡と剣を奉じ幣帛を並べさせた。そして代々守り従ってきたのは、すべてこの儀である。崇神天皇が天祖を笠縫邑に祭ったとき、石凝姥命はかつて天祖に仕えて鏡を鋳造し、天目一箇命は金属を作る者であったので、斎部に命じて二氏の子孫を率いさせ、鏡と剣を模造して宮殿内に安置させた。即位の日に斎部が捧げるものがこれである。古い物を永く保ち、決して失わないことはこのようである。)

解説

この段では、大嘗祭の御禊や装束、中臣氏・斎部氏の役割が、天孫降臨のときの儀式をそのまま繰り返すものとして描かれる。割注は『古語拾遺』の記述に拠り、崇神天皇のとき神器を宮中から笠縫邑に移し、模造の鏡剣を宮中に置いた由来を説く。正志斎が強調するのは、儀式を「新たに命を天祖に受くるがごとく」繰り返すことで、君臣ともに初めの心を忘れないという点である。毎年同じ形を繰り返す儀礼が組織の原点を新たにする働きをもつことは、創業記念や式典の意味を考えるうえでも参考になる。

この章句が説くこと

祭祀儀礼初心継承古語拾遺大嘗

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