導師導古典を学びたいすべての人に

新論 / 長計

後世事從簡易、悠紀主基有定國、限以近畿、其儀獨行於京師、而四方之民、不得知 天皇之意與斯禮之義也、所護送止數十里、而道路不知也、雜用不取之各國、而國郡不知也、大祓供幣之使廢、而致潔之意、與 天祖統群神之義、世莫之知也、則其所以敬重之之意、雖家譬戸説、而天下孰得而知之、其禮雖存、其用既廢、可勝嘆乎、

新字:後世事従簡易、悠紀主基有定国、限以近畿、其儀独行於京師、而四方之民、不得知 天皇之意与斯礼之義也、所護送止数十里、而道路不知也、雑用不取之各国、而国郡不知也、大祓供幣之使廃、而致潔之意、与 天祖統群神之義、世莫之知也、則其所以敬重之之意、雖家譬戸説、而天下孰得而知之、其礼雖存、其用既廃、可勝嘆乎、

書き下し

後世事簡易に従ひ、悠紀・主基に定国有りて、限るに近畿を以てし、其の儀独り京師に行はれて、四方の民、天皇の意と斯の礼の義とを知ることを得ず。護送する所数十里に止まりて、道路知らず。雑用之を各国に取らずして、国郡知らず。大祓・供幣の使廃れて、潔を致すの意と、天祖群神を統ぶるの義と、世之を知る莫し。則ち其の之を敬重する所以の意、家ごとに譬へ戸ごとに説くと雖も、天下孰か得て之を知らん。其の礼存すと雖も、其の用既に廃る、嘆くに勝ふべけんや。

現代語訳

後の世には何事も簡略に流れ、悠紀・主基には決まった国があって近畿に限られ、その儀式は京都だけで行われ、四方の民は天皇の思いもこの礼の意義も知ることができなくなった。護送も数十里にとどまり、道筋の人々は知らない。諸費用は各国から取らず、国郡の人々は知らない。大祓や幣帛を奉る使いは廃れ、身を清める意図も、天祖が神々を統べる意義も、世に知る者はない。そうなると、その祭りを敬い重んじる意図を、一軒一軒たとえて説き、一戸一戸に話して回ったとしても、天下の誰がそれを知ることができようか。その礼は残っていても、その働きはすでに廃れている。嘆かずにいられようか。

解説

前段の理想に対し、正志斎は後世の簡略化を嘆く。悠紀・主基が近畿の国に固定され、儀式は京都だけで完結し、費用も各地から取らず、使いも廃れたため、民は祭りの意義を知る機会を失ったという。中世以降の大嘗祭は戦乱で中断した時期もあり、江戸時代に再興されたものの規模は縮小していた。正志斎の「其の礼存すと雖も、其の用既に廃る」という指摘は鋭い。現代の組織でも、効率化の名で行事や手続きを本部だけで済ませると、形は残っても、それが現場に伝えていた意味が失われることがある。

この章句が説くこと

大嘗祭形骸化礼民心効率化伝達

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る