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新論 / 長計

定神地神戸、而百神供奉各有常、民知 朝廷敬神祇、用兵器而祭神、因以寓軍令、而險要有守、民知 朝廷之不可犯、而益畏敬之、〈按 垂仁紀、納弓矢及横刀於諸神社、兵器祭神祇始于此、然 崇神朝、既以盾及矛、祠墨坂大坂神、蓋二坂皆險要地、而因祭修戎器、以暗寓固險之意、至 垂仁朝亦襲是意也、〉民尊奉畏敬 朝廷、而叛者自平、如埴安振根之徒、不旋踵就戮、

新字:定神地神戸、而百神供奉各有常、民知 朝廷敬神祇、用兵器而祭神、因以寓軍令、而険要有守、民知 朝廷之不可犯、而益畏敬之、〈按 垂仁紀、納弓矢及横刀於諸神社、兵器祭神祇始于此、然 崇神朝、既以盾及矛、祠墨坂大坂神、蓋二坂皆険要地、而因祭修戎器、以暗寓固険之意、至 垂仁朝亦襲是意也、〉民尊奉畏敬 朝廷、而叛者自平、如埴安振根之徒、不旋踵就戮、

書き下し

神地神戸を定めて、百神の供奉各常有り、民は朝廷の神祇を敬ふを知る。兵器を用ゐて神を祭り、因りて以て軍令を寓し、而して険要に守り有り、民は朝廷の犯すべからざるを知りて、益之を畏敬す。(按ずるに垂仁紀に、弓矢及び横刀を諸神社に納む、兵器もて神祇を祭ること此に始まると。然れども崇神朝に、既に盾及び矛を以て、墨坂・大坂の神を祠る。蓋し二坂は皆険要の地にして、祭に因りて戎器を修め、以て暗に固険の意を寓す。垂仁朝に至りても亦是の意を襲ふなり。)民朝廷を尊奉畏敬して、叛く者自ら平らぐ。埴安・振根の徒の如き、踵を旋らさずして戮に就く。

現代語訳

神社の領地と神社に属する民戸を定めて、すべての神への奉仕にそれぞれ決まりができ、民は朝廷が天地の神々を敬っていることを知った。兵器を用いて神を祭り、それによって軍の命令を託し、要害の地には守りがあって、民は朝廷が犯すべからざるものであることを知り、ますます畏れ敬った。(考えるに『日本書紀』垂仁紀に、弓矢と横刀を諸神社に納めたとあり、兵器で神々を祭ることはここに始まるとされる。しかし崇神天皇の時代に、すでに盾と矛で墨坂と大坂の神を祀っている。思うに二つの坂はどちらも要害の地であり、祭りにかこつけて武器を整え、ひそかに要害を固める意を託したのであろう。垂仁天皇の時代になっても、その意を受け継いだのである。)民が朝廷を尊び奉り畏れ敬ったので、叛く者はおのずから平らいだ。武埴安彦や出雲振根のような者たちは、たちまちのうちに誅殺された。

解説

崇神天皇が神地・神戸を定めて神々への奉仕を制度化し、兵器を神に供えて要害の地に守りを置いたことを、正志斎は祭祀と軍事を結びつけた知恵として評価する。割注では、垂仁紀の弓矢・横刀の奉納より前に、崇神朝に盾矛で墨坂・大坂の神を祀った記事を挙げ、祭りにかこつけて要害を固めたと解釈する。民が朝廷を畏敬したので武埴安彦や出雲振根の叛乱も速やかに平定されたとするのは、『日本書紀』を国体論から読んだものである。信仰や文化の仕組みと実際の備えを結びつける発想は、組織の統治を考えるうえで示唆がある。

この章句が説くこと

祭祀軍令防衛畏敬国体日本書紀

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