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新論 / 長計

英雄之擧事必先大觀天下、通視萬世而立一定不易之長策、規模先定於内、然後外應無窮之變、是以變生而不愕、事乖而不困、雖百折千挫、而終歸於成功者、其所由雖萬塗、而其所趨、始終一歸、而未嘗有間斷也、昔者 神聖之所以攘斥夷狄、開拓土宇者、莫不由此道、故 中國常有一定之略、以制御夷狄、有不拔之業、以宣布皇化、而夷狄者時大時小、一叛一服、遂以歸於版圖、彼無大計遠圖以自立基業、而固不能以抗於 中國之據長策者也、

新字:英雄之挙事必先大観天下、通視万世而立一定不易之長策、規模先定於内、然後外応無窮之変、是以変生而不愕、事乖而不困、雖百折千挫、而終帰於成功者、其所由雖万塗、而其所趨、始終一帰、而未嘗有間断也、昔者 神聖之所以攘斥夷狄、開拓土宇者、莫不由此道、故 中国常有一定之略、以制御夷狄、有不抜之業、以宣布皇化、而夷狄者時大時小、一叛一服、遂以帰於版図、彼無大計遠図以自立基業、而固不能以抗於 中国之拠長策者也、

書き下し

英雄の事を挙ぐるや必ず先づ大いに天下を観、万世を通視して一定不易の長策を立て、規模先づ内に定まりて、然る後外無窮の変に応ず。是を以て変生じて愕かず、事乖きて困まず。百折千挫すと雖も、終に成功に帰する者は、其の由る所万塗なりと雖も、其の趨く所は、始終一に帰して、未だ嘗て間断有らざればなり。昔者神聖の夷狄を攘斥し、土宇を開拓する所以の者は、此の道に由らざる莫し。故に中国常に一定の略有りて、以て夷狄を制御し、不抜の業有りて、以て皇化を宣布す。而して夷狄なる者は時に大に時に小に、一たびは叛き一たびは服し、遂に以て版図に帰す。彼大計遠図以て自ら基業を立つる無くして、固より以て中国の長策に拠る者に抗すること能はざるなり。

現代語訳

英雄が事を起こすときは、必ずまず天下を大きく見渡し、万世を見通して一定不変の長期の策を立て、構想をまず内に定めてから、外の果てしない変化に応じる。だから変事が起きても驚かず、事が食い違っても行き詰まらない。百たび折れ千たび挫けても最後には成功に至るのは、通る道は万通りあっても、目指すところが始めから終わりまで一つで、途切れたことがないからである。昔、神々や聖なる天皇たちが夷狄を退け国土を切り開いたのは、みなこの道によった。だからわが国には常に一定の策略があって夷狄を制し、揺るがない事業があって天皇の徳化を広めた。夷狄の方は、時に強く時に弱く、背いたり従ったりしながら、ついにはわが版図に入った。彼らには大計遠図によって自ら基盤を立てるものがなく、もとより長期の策に拠るわが国に対抗することはできなかったのである。

解説

『新論』の最終篇「長計」の冒頭である。正志斎は、英雄は天下と万世を見通して一定不変の長策を立て、構想を内に定めてから外の変化に応じるので、百折千挫しても最後には成功すると説く。そして古代の天皇たちが夷狄を服属させたのもこの道によったと述べる。古代史の叙述は正志斎の国体観に立つもので、後に国家主義の文脈で読まれた歴史もある。一方、目先の変化に振り回されず、長期の構想を先に定めておけば挫折しても方向を失わないという論点は、経営戦略の基本としても普遍的である。

この章句が説くこと

長計長策戦略構想国体新論

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