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新論 / 守禦

且古之人君欲大有爲、必赫然震怒、以身先天下、蚤夜坐外朝、日謀議天下大計、或巡視屯營、躬親撫循、或引布衣、庭陳謀猷、慨然滴瀝肝膽、示天下以大有爲之志、與天下共其憂戚、夫如是則天下智勇之士、亦皆奮然輸赤誠宣忠力、誓不與虜生、東西馳騁、爭自報効、萃天下之智勇於廟堂、廟堂一揮、令行如響、義氣溢天下、然後可以大有所振起作興也、

新字:且古之人君欲大有為、必赫然震怒、以身先天下、蚤夜坐外朝、日謀議天下大計、或巡視屯営、躬親撫循、或引布衣、庭陳謀猷、慨然滴瀝肝胆、示天下以大有為之志、与天下共其憂戚、夫如是則天下智勇之士、亦皆奮然輸赤誠宣忠力、誓不与虜生、東西馳騁、争自報効、萃天下之智勇於廟堂、廟堂一揮、令行如響、義気溢天下、然後可以大有所振起作興也、

書き下し

且つ古の人君大いに為す有らんと欲すれば、必ず赫然として震怒し、身を以て天下に先んじ、蚤夜外朝に坐し、日に天下の大計を謀議し、或いは屯営を巡視し、躬親ら撫循し、或いは布衣を引きて、庭に謀猷を陳べしめ、慨然として肝胆を滴瀝し、天下に示すに大いに為す有るの志を以てし、天下と其の憂戚を共にす。夫れ是くの如くなれば則ち天下智勇の士も、亦皆奮然として赤誠を輸し忠力を宣べ、誓ひて虜と生きず、東西に馳騁し、争ひて自ら報効し、天下の智勇を廟堂に萃む。廟堂一揮すれば、令行はるること響きの如く、義気天下に溢れ、然る後以て大いに振起作興する所有るべきなり。

現代語訳

また昔の君主が大事業をなそうとするときには、必ず激しく憤りを表し、自ら天下の先頭に立ち、朝早くから夜遅くまで政庁に座って、毎日天下の大計を議し、あるいは駐屯地を見回って自ら兵をいたわり、あるいは無位無官の者を招いて朝廷で策を述べさせ、心を尽くして真情を注ぎ、大事業をなす志を天下に示し、天下の人々と憂いや悲しみをともにした。このようであれば、天下の知恵と勇気ある士もまた、みな奮い立って真心をささげ忠義の力を尽くし、外敵とともには生きないと誓い、東へ西へと駆け回り、争って自ら恩に報いようとし、天下の知と勇が朝廷に集まる。朝廷がひとたび号令すれば、命令はこだまのように行き渡り、義の気風が天下にあふれ、そうしてはじめて大いに奮い興すことができるのである。

解説

守禦篇の結びとして、大事を成すには君主自らが先頭に立てと正志斎は説く。朝夕政務に臨んで大計を議し、駐屯地を巡って兵をいたわり、身分の低い者からも策を聴き、志を示して天下と憂いをともにすれば、智勇の士が集まり命令は響くように行き渡るという。藩主に上呈する書として、為政者の率先垂範を求めた言葉である。人を動かすのは制度より先に指導者の姿勢であり、現場に足を運び下の声を聴き、苦楽をともにする者のもとに人は集まるという教えは、今日のリーダーにもそのまま当てはまる。

この章句が説くこと

率先君主人材民心振起新論

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