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新論 / 守禦

至米穀、則民命所係、在軍旅而糧食莫重焉、今其狼戻都會者、可以充浮冗佚樂之奉、而不可給兵行不資之糧也、故欲峙糧食、其務本業貴米穀、藏之民儲之國、固亡論、〈説見國體篇、〉而浮冗之民、不可以不漸歸於農、酒餅餌麪之銷穀者、茶蔫紅茜之妨農者、不可以不稍制其節、

新字:至米穀、則民命所係、在軍旅而糧食莫重焉、今其狼戻都会者、可以充浮冗佚楽之奉、而不可給兵行不資之糧也、故欲峙糧食、其務本業貴米穀、蔵之民儲之国、固亡論、〈説見国体篇、〉而浮冗之民、不可以不漸帰於農、酒餅餌麪之銷穀者、茶蔫紅茜之妨農者、不可以不稍制其節、

書き下し

米穀に至りては、則ち民命の係る所にして、軍旅に在りても糧食より重きは莫し。今其の都会に狼戻する者は、以て浮冗佚楽の奉に充つべくして、兵行不資の糧に給すべからざるなり。故に糧食を峙へんと欲せば、其の本業を務め米穀を貴び、之を民に蔵し之を国に儲ふるは、固より論ずる亡し。(説は国体篇に見ゆ。)而して浮冗の民は、以て漸く農に帰せしめざるべからず。酒・餅餌・麪の穀を銷す者、茶・蔫・紅茜の農を妨ぐる者は、以て稍其の節を制せざるべからず。

現代語訳

米穀については、民の命がかかっているものであり、軍においても糧食より重いものはない。いま都会にあふれている米は、遊び暮らす人々の楽しみにあてることはできても、兵の行軍に必要な糧食にあてることはできない。だから糧食を蓄えようとするなら、本業である農業に努め、米穀を貴び、民の手元に蓄え国にも蓄えることは、言うまでもない。(その説は国体篇に見える。)そして遊び暮らす民は、しだいに農業に戻らせねばならない。酒・菓子・麺のように穀物を消費するもの、茶・煙草・紅花や茜のように農業の妨げになるものは、ある程度節度を設けて制限しなければならない。

解説

資糧の論は米穀に及ぶ。正志斎は米を民の命であり軍の糧食の要と位置づけ、都会に集まる米が遊興に消えて非常時の兵糧にならない現状を批判する。農を本業として重んじ、民と国の双方に米を蓄え、都市の浮民を農に戻し、酒や菓子、茶・煙草・紅花など穀物を費やし農を妨げるものに節度を設けよと説く。農本主義に立つ当時の経世論の典型であり、商品作物の広がりへの警戒もうかがえる。何を基盤とし何を嗜好とみなすかを見極める視点は、今日の事業ポートフォリオの議論にも通じる。

この章句が説くこと

米穀農本糧食備え民命新論

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