墨子 / 七患
故食無備粟,不可以待凶饑;庫無備兵,雖有義,不能征無義;城郭不備全,不可以自守;心無備慮,不可以應卒。是故慶忌無去之心,不能輕出。夫桀無待湯之備,故放;紂無待武王之備,故殺。桀紂貴為天子,富有天下,然而皆滅亡於百里之君者,何也?有富貴而不為備也。故備者,國之重也。
新字:故食無備粟,不可以待凶饑;庫無備兵,雖有義,不能征無義;城郭不備全,不可以自守;心無備慮,不可以応卒。是故慶忌無去之心,不能軽出。夫桀無待湯之備,故放;紂無待武王之備,故殺。桀紂貴為天子,富有天下,然而皆滅亡於百里之君者,何也?有富貴而不為備也。故備者,国之重也。
書き下し
故に食に備粟無ければ、以て凶饑を待つ可からず。庫に備兵無ければ、義有りと雖も、無義を征する能わず。城郭、備え全からざれば、以て自ら守る可からず。心に備慮無ければ、以て卒に應ずる可からず。是の故に慶忌は之を去るの心無くんば、輕々しく出づる能わず。夫れ桀に湯を待つの備無し、故に放たる。紂に武王を待つの備無し、故に殺さる。桀紂は貴きこと天子と為り、富は天下を有つ。然れども皆な百里の君に滅亡せらるるは、何ぞや。富貴有りて備えを為さざればなり。故に備えなる者は、國の重んずる所なり。
現代語訳
だから食料に備蓄の穀物が無ければ凶作や飢饉に備えられない。倉に備えの武器が無ければ、義があっても不義を討てない。城壁の備えが完全でなければ自らを守れない。心に備えの思慮が無ければ、突発事に応じられない。だから慶忌も、去るという心づもりが無ければ軽々しく動けなかった。桀には湯を迎え撃つ備えが無かったから追放された。紂には武王を迎え撃つ備えが無かったから殺された。桀と紂は天子として貴く、天下を持つほど富んでいた。それでもみな、わずか百里の領地の君主に滅ぼされたのはなぜか。富み貴くありながら備えをしなかったからである。だから備えとは、国が最も重んじるものである。
解説
備えを四つに分けます——食料、武器、城壁、そして「心の備慮」。最初の三つが物であるのに対し、四つ目だけが思考です。「心無備慮、不可以應卒」——突発事に応じられるかどうかは、事前にどれだけ考えておいたかで決まる。そして桀紂の例が置かれます。天下を持つほど富んでいた二人が、わずか百里の君主に滅ぼされた。規模が大きいことは備えの代わりにならない、というのがこの章の主張です。
この章句が説くこと
備え危機管理備蓄想定油断
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