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新論 / 守禦

屢改貨幣、爐炭所燬損、不可不愛也、番舶交易、多屬無用、而棄金銅海外、不可不停也、其他由俗之奢麗致銷鑠金石者、指不勝屈、不可不爲之限制也、〈上下尚奢、工商競便、室屋器財、以銅鐵代竹木之用者、爲不尠焉、礪砥燧石、軍國必用之物、而細作纖巧、朝成夕毀、錐鑿刀鋸、徒致磨磷、眞鋼之精者、礪砥之良者、發掘將盡、俗貴磁器、不好漆器、硝子亦盛行於世、而燧石之佳者、爲之銷鑠亦不尠、如是之類、其所以銷鑠金石者、不可勝計、宜及其未盡而審求其所糜者、悉去之也、〉能擇其無益實用者而盡去之、山嶽之秘、庶不速竭、而海内之神氣、亦不甚耗也、

新字:屡改貨幣、炉炭所燬損、不可不愛也、番舶交易、多属無用、而棄金銅海外、不可不停也、其他由俗之奢麗致銷鑠金石者、指不勝屈、不可不為之限制也、〈上下尚奢、工商競便、室屋器財、以銅鉄代竹木之用者、為不尠焉、礪砥燧石、軍国必用之物、而細作繊巧、朝成夕毀、錐鑿刀鋸、徒致磨磷、真鋼之精者、礪砥之良者、発掘将尽、俗貴磁器、不好漆器、硝子亦盛行於世、而燧石之佳者、為之銷鑠亦不尠、如是之類、其所以銷鑠金石者、不可勝計、宜及其未尽而審求其所糜者、悉去之也、〉能択其無益実用者而尽去之、山嶽之秘、庶不速竭、而海内之神気、亦不甚耗也、

書き下し

屢貨幣を改め、炉炭の燬損する所、愛まざるべからざるなり。番舶の交易、多く無用に属して、金銅を海外に棄つ、停めざるべからざるなり。其の他俗の奢麗に由りて金石を銷鑠するを致す者、指屈するに勝へず、之が限制を為さざるべからざるなり。(上下奢を尚び、工商便を競ひ、室屋器財、銅鉄を以て竹木の用に代ふる者、尠からずと為す。礪砥燧石は軍国必用の物なるに、細作繊巧、朝に成り夕に毀ち、錐鑿刀鋸、徒に磨磷を致し、真鋼の精なる者、礪砥の良なる者、発掘将に尽きんとす。俗磁器を貴び、漆器を好まず、硝子も亦盛んに世に行はれて、燧石の佳なる者、之が為に銷鑠せらるるも亦尠からず。是くの如きの類、其の金石を銷鑠する所以の者、勝げて計ふべからず。宜しく其の未だ尽きざるに及びて審らかに其の糜す所の者を求め、悉く之を去るべきなり。)能く其の実用に益無き者を択びて尽く之を去らば、山嶽の秘、庶はくは速やかに竭きずして、海内の神気も、亦甚だしくは耗せざらん。

現代語訳

たびたび貨幣を改鋳して、炉の火で焼き損なう分は惜しまねばならない。外国船との交易は多くが無用のもので、金や銅を海外に捨てているのだから、やめさせねばならない。そのほか風俗の贅沢のために金属や石を溶かし減らしているものは数えきれず、制限を設けねばならない。(上下ともに贅沢を好み、職人や商人は便利さを競い、家や器物で、竹や木の代わりに銅や鉄を使うものが少なくない。砥石や火打石は軍事と国政に必ず要るものなのに、細かく凝った細工で朝に作って夕方には壊し、錐・鑿・刀・鋸はむだにすり減らされ、良質の鋼や良い砥石は掘り尽くされようとしている。世間では磁器を貴んで漆器を好まず、ガラスも盛んに用いられて、良い火打石がそのために溶かされることも少なくない。このようにして金属や石を溶かし減らしている例は数えきれない。尽きてしまわないうちに、浪費しているものを詳しく調べて、すべて取り除くべきである。)実際の役に立たないものをよく選んでことごとく取り除けば、山に眠る資源もすぐには尽きず、国中の生気もひどくすり減ることはないだろう。

解説

前段に続き、資源を損なう要因として、度重なる貨幣改鋳、無用の品と引き換えに金銅を流出させる外国船との交易、奢侈の風を挙げる。割注では、竹木の代わりに銅鉄を使う風潮や、すぐ壊す細工で鋼や砥石がすり減り、磁器やガラスの流行で燧石が溶かされる様子まで具体的に描く。文政期は幕府の貨幣改鋳が繰り返された時期でもあった。実用に益のないものを除けば資源も国の生気も保たれるという結論は、無駄を削ることが備えそのものになるという、時代を超えた教えである。

この章句が説くこと

節倹奢侈資源貨幣長計新論

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