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新論 / 守禦

所謂繕水兵者何也、水戰之於防海、猶陸戰之於守城、其不可以已也固矣、今虜以海濤爲家、於水技最熟、而其拒之者、船艦之制、不可不精、水操之法、不可不講、固亡論已、今欲繕水兵不必團聚一處日敎戰法、要在於使天下將士平居習於水、其操巨艦、如行短航、視狂瀾怒濤、如坐袵席上、然後乃可用也、故或漕運、或捕魚、宜常有事於水上、而其針路之迂直、港嶴之曲折、潮候之逆順、日月星辰風雨晦明、凡占度之用、莫不諳熟、是皆所以使將士習於水也、

新字:所謂繕水兵者何也、水戦之於防海、猶陸戦之於守城、其不可以已也固矣、今虜以海濤為家、於水技最熟、而其拒之者、船艦之制、不可不精、水操之法、不可不講、固亡論已、今欲繕水兵不必団聚一処日教戦法、要在於使天下将士平居習於水、其操巨艦、如行短航、視狂瀾怒濤、如坐袵席上、然後乃可用也、故或漕運、或捕魚、宜常有事於水上、而其針路之迂直、港嶴之曲折、潮候之逆順、日月星辰風雨晦明、凡占度之用、莫不諳熟、是皆所以使将士習於水也、

書き下し

所謂水兵を繕ふとは何ぞや。水戦の防海に於けるは、猶ほ陸戦の守城に於けるがごとし。其の以て已むべからざるや固よりなり。今虜は海濤を以て家と為し、水技に於て最も熟す。而して其の之を拒ぐ者、船艦の制、精しからざるべからず、水操の法、講ぜざるべからざること、固より論亡きのみ。今水兵を繕はんと欲すれば、必ずしも一処に団聚して日に戦法を教へず。要は天下の将士をして平居水に習はしむるに在り。其の巨艦を操ること、短航を行るが如く、狂瀾怒濤を視ること、袵席の上に坐するが如くにして、然る後に乃ち用ふべきなり。故に或は漕運し、或は捕魚し、宜しく常に水上に事有るべし。而して其の針路の迂直、港嶴の曲折、潮候の逆順、日月星辰・風雨晦明、凡そ占度の用、諳熟せざる莫し。是れ皆将士をして水に習はしむる所以なり。

現代語訳

水軍を整えるとはどういうことか。海防における水戦は、城の守りにおける陸戦のようなもので、欠かすことができないのは言うまでもない。今、外夷は海の波を住まいとし、水上の技に最も熟達している。これを防ぐには、船の造りを精密にし、水上の操練の法を工夫しなければならないことは、もとより論ずるまでもない。今、水軍を整えようとするなら、必ずしも一か所に集めて毎日戦法を教える必要はない。要は天下の将兵に、ふだんから水に慣れさせることにある。大きな船を操るのを小舟を漕ぐように、荒れ狂う波を見るのを敷物の上に座っているように思えるようになって、はじめて役に立つのである。だから米の輸送をしたり漁をしたりして、つねに水上で仕事をしているのがよい。そして針路の遠回りと近道、港や入り江の入り組み、潮の満ち引きの向き、日月星辰や風雨・晴れ曇り、およそ方角や天候を占い測る術に、熟達しないものはないようにする。これらはみな将兵を水に慣れさせるてだてである。

解説

五つの創立の第三「水兵を繕ふ」である。正志斎は、海を家とする西洋に対抗するには船の造りと操練が要ると認めたうえで、特別な訓練所を設けるより、漕運や漁業など日常の仕事を通して将兵を水に慣れさせよと説く。針路・港・潮・天候の知識に通じることまで含めて、水に習うことだという。平時の業務そのものを有事の訓練に兼ねさせる発想は、前の屯田の議論とも通じている。現代の組織でも、非常時の能力は年に一度の研修より、日々の仕事の中で場数を踏ませることで身につくという点で、人材育成の基本を示している。

この章句が説くこと

水兵訓練海防習熟人材守禦

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