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新論 / 守禦

訓練兵旅者非花法兒戯之謂、而其可施於實用之宜講也、故敎以陣營之法、習以旗鼓之節、悉除去無用之虚文、至易至簡、易知易從、而試之田獵、用之追捕、勞之工役、狃之險阻艱難風雨寒暑負重走遠之事、使士卒習進退輕險阻、不以軍旅爲難事、所以練其膽、膽練而後遇事不懾、得臨機應變、如此然後緩急可用也、

新字:訓練兵旅者非花法児戯之謂、而其可施於実用之宜講也、故教以陣営之法、習以旗鼓之節、悉除去無用之虚文、至易至簡、易知易従、而試之田猟、用之追捕、労之工役、狃之険阻艱難風雨寒暑負重走遠之事、使士卒習進退軽険阻、不以軍旅為難事、所以練其胆、胆練而後遇事不懾、得臨機応変、如此然後緩急可用也、

書き下し

兵旅を訓練するは、花法児戯の謂に非ずして、其の実用に施すべきの宜しく講ずべきなり。故に教ふるに陣営の法を以てし、習はすに旗鼓の節を以てし、悉く無用の虚文を除去し、至易至簡、知り易く従ひ易くして、之を田猟に試み、之を追捕に用ひ、之を工役に労し、之を険阻艱難・風雨寒暑・負重走遠の事に狃れしめ、士卒をして進退に習ひ険阻を軽んじ、軍旅を以て難事と為さざらしむるは、其の胆を練る所以なり。胆練れて後に事に遇ひて懾れず、機に臨みて変に応ずるを得。此の如くして然る後に緩急用ふべきなり。

現代語訳

軍隊を訓練するとは、見せかけの型や子どもの遊びのようなことを言うのではなく、実際に役立つことを工夫すべきなのである。だから陣営の法を教え、旗や太鼓の合図に習熟させ、無用な虚飾の作法はことごとく取り除き、きわめて易しく簡潔に、わかりやすく従いやすくして、狩りで試み、罪人の追捕に用い、土木工事で労させ、険しい道や困難、風雨や寒暑、重い荷を負って遠くを走ることに慣れさせて、兵士に進退を習熟させ、険しさを苦にせず、軍事を難しいことと思わないようにする。これが胆力を練るてだてである。胆力が練られてこそ、事に遭っても恐れず、機に臨んで変化に応じることができる。こうしてはじめて、いざという時に役立つのである。

解説

軍令を飭ふの第三目、訓練を精しくする条である。正志斎は、泰平の世で形式化した武芸を「花法児戯」と退け、陣法と合図に絞った簡潔な訓練と、狩猟・追捕・工事・悪天候下の行軍といった実地の労苦を通じて胆力を練れと説く。胆が練れてはじめて臨機応変が可能になるという順序が要である。長い泰平で武士の訓練が儀礼化していた文政期の現実への批判として読める。現代の研修でも、見栄えのよい形式より、実務に近い負荷のある経験を重ねることが、想定外の事態で動じない人を育てるという点で、そのまま通じる指摘である。

この章句が説くこと

訓練胆力実用軍令臨機応変人材

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