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新論 / 守禦

賢才之在國、古人譬之虎在山、其所在、隱然人畏之、故擧而措之廊廟、則内重而外輕、逸而在草野、則草野重、在邦國則邦國重、外有重者、則天下將有輕視廊廟者焉、是以聖賢拔天下俊豪、收天下重望、而措之廊廟、盡天下之謀議、使天下仰廊廟如騃子之慕父母、然後大業可得成也、

新字:賢才之在国、古人譬之虎在山、其所在、隠然人畏之、故挙而措之廊廟、則内重而外軽、逸而在草野、則草野重、在邦国則邦国重、外有重者、則天下将有軽視廊廟者焉、是以聖賢抜天下俊豪、収天下重望、而措之廊廟、尽天下之謀議、使天下仰廊廟如騃子之慕父母、然後大業可得成也、

書き下し

賢才の国に在るや、古人之を虎の山に在るに譬ふ。其の在る所、隠然として人之を畏る。故に挙げて之を廊廟に措けば、則ち内重くして外軽く、逸して草野に在れば、則ち草野重く、邦国に在れば則ち邦国重し。外に重き者有らば、則ち天下将に廊廟を軽視する者有らんとす。是を以て聖賢は天下の俊豪を抜き、天下の重望を収めて、之を廊廟に措き、天下の謀議を尽くし、天下をして廊廟を仰ぐこと騃子の父母を慕ふが如くならしめ、然る後に大業得て成すべきなり。

現代語訳

賢く才ある人が国にいることを、昔の人は虎が山にいることにたとえた。その人のいるところでは、人々はおのずと畏れ敬う。だから登用して朝廷(政権の中枢)に置けば、中央が重く地方が軽くなり、見逃されて民間にいれば民間が重くなり、諸藩にいれば諸藩が重くなる。中央の外に重みのある者がいれば、天下には中央を軽んじる者が出てくるだろう。それゆえ聖人賢者は、天下の優れた人物を抜擢し、天下の人望を集めて、これを朝廷に置き、天下の謀議を尽くさせ、天下の人々が朝廷を仰ぐことを、幼な子が父母を慕うようにさせた。そうしてはじめて大業を成し遂げることができるのである。

解説

内政の第四、賢才を挙ぐる条の導入である。正志斎は、賢才を山にいる虎にたとえ、その人のいる場所に重みが生じると説く。だから人材を中枢に集めれば中枢が重くなり、在野や地方に埋もれさせれば、中枢が軽んじられる原因になるという。ここで言う廊廟は政権の中枢、すなわち幕府や藩の首脳部を指す。人材の所在が権威の所在を決めるという見方は、統治の安定を重んじる後期水戸学らしい論点である。現代の組織でも、優秀な人を周縁に放置すれば求心力は外に流れ、中枢に人望ある人材を集めることが大きな事業を成す条件になる。

この章句が説くこと

人材登用賢才求心力内政水戸学

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