春秋左氏伝 / 昭公十三年 璧に当たりて拝す
當璧而拜者。神所立也。誰敢違之。既乃與巴姬密埋璧於大室之庭。使五人齊而長入拜。康王跨之。靈王肘加焉。子干子皙皆遠之。平王弱。抱而入。再拜。皆厭紐。鬥韋龜屬成然焉。且曰。棄禮違命。楚其危哉。子干歸。韓宣子問於叔向曰。子干其濟乎。對曰。難。宣子曰。同惡相求。如市賈焉。何難。對曰。無與同好。誰與同惡。取國有五難。有寵而無人。一也。有人而無主。二也。有主而無謀。三也。有謀而無民。四也。有民而無德。五也。子干在晉。十三年矣。晉楚之從。不聞達者。可謂無人。族盡親叛。可謂無主。無釁而動。可謂無謀。為羇終世。可謂無民。亡無愛徵。
新字:当璧而拝者。神所立也。誰敢違之。既乃与巴姫密埋璧於大室之庭。使五人斉而長入拝。康王跨之。霊王肘加焉。子干子皙皆遠之。平王弱。抱而入。再拝。皆厭紐。鬥韋亀属成然焉。且曰。棄礼違命。楚其危哉。子干帰。韓宣子問於叔向曰。子干其済乎。対曰。難。宣子曰。同悪相求。如市賈焉。何難。対曰。無与同好。誰与同悪。取国有五難。有寵而無人。一也。有人而無主。二也。有主而無謀。三也。有謀而無民。四也。有民而無徳。五也。子干在晋。十三年矣。晋楚之従。不聞達者。可謂無人。族尽親叛。可謂無主。無釁而動。可謂無謀。為羇終世。可謂無民。亡無愛徴。
書き下し
「璧に當りて拜する者は、神の立つる所なり。誰か敢へて之に違はん」と。既にして乃ち巴姬と密かに璧を大室の庭に埋め、五人をして齊して長を以って入りて拜せしむ。康王之を跨ぐ。靈王肘焉に加はる。子干・子皙皆之に遠ざかる。平王弱し、抱かれて入り、再拜して、皆紐を厭す。鬥韋龜成然を焉に屬す。且つ曰く、「禮を棄て命に違ふ、楚其れ危ふからんかな」と。子干歸る。韓宣子叔向に問ひて曰く、「子干其れ濟らんか」と。對へて曰く、「難し」と。宣子曰く、「惡を同じくして相求むること、市賈の如し。何ぞ難からん」と。對へて曰く、「好を同じくする與無くんば、誰と與にか惡を同じくせん。國を取るに五難有り。寵有りて人無き、一なり。人有りて主無き、二なり。主有りて謀無き、三なり。謀有りて民無き、四なり。民有りて德無き、五なり。子干晉に在ること、十三年なり。晉・楚の從、達者を聞かず、人無しと謂ふ可し。族盡き親叛く、主無しと謂ふ可し。釁無くして動く、謀無しと謂ふ可し。羇と為りて世を終ふ、民無しと謂ふ可し。亡げて愛徵無し、
現代語訳
「璧の真上で拝礼した者が、神の立てたまう者である。誰がそれに逆らえようか」。その後、共王は巴姫(寵妃)とひそかに璧を太室(祖廟)の庭に埋め、五人の子に斎戒させたうえで、年長の順に入って拝礼させた。康王(長子)はその上をまたいでしまった。霊王は肘がその上にかかった。子干と子皙はどちらも璧から遠く離れていた。平王はまだ幼く、抱かれて入り、二度拝礼したが、二度とも璧の紐の上を押さえていた。鬥韋亀は(このことから)子の成然を平王に託した。そしてこう言った。「長幼の礼を捨て、神の命に背いて王を立てることになれば、楚は危ういだろう」。子干が晋から楚に帰った。韓宣子(韓起)が叔向に尋ねた。「子干は事を成し遂げるだろうか」。叔向は答えた。「難しいでしょう」。宣子は言った。「同じ者を憎む者どうしが互いに求め合うのは、市場で商人が取引するようなものだ。何が難しいのか」。叔向は答えた。「好むものを同じくする者がいなければ、誰と憎むものを同じくできましょうか。国を取るには五つの難があります。寵愛されても人材がいないのが一つ。人材がいても内で支える主がいないのが二つ。主がいても謀がないのが三つ。謀があっても民がついてこないのが四つ。民がいても徳がないのが五つです。子干は晋に亡命して十三年になります。晋でも楚でも、彼に従う者の中に名の通った人物がいるとは聞きません。人材がいないと言えます。一族は絶え、身内は背いています。内の主がいないと言えます。隙もないのに動きました。謀がないと言えます。生涯を他国の客として過ごしてきました。民がいないと言えます。亡命していても、彼を慕う兆しがありません。
解説
この章句が説くこと
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