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新論 / 形勢

百兒西嘗衰亂、鄂羅爲興復之、合兵撃破度爾、百兒亞與鄂羅合、則度爾斷其左臂、鄂羅素彌亙大地之北、而爲之領襟、今又聲勢震南海、中斷大地、而扼其咽喉、使度爾不得與莫臥兒合、滿淸之威亦限乎此、而不得西被、撓隣國之權、而以嚇四方、假繼絶興滅之義、以鳴其盛、熾焰所煽、百蠻震恐、是其勢非席巻宇内而盡臣之則不止也、

新字:百児西嘗衰乱、鄂羅為興復之、合兵撃破度爾、百児亜与鄂羅合、則度爾断其左臂、鄂羅素弥亙大地之北、而為之領襟、今又声勢震南海、中断大地、而扼其咽喉、使度爾不得与莫臥児合、満清之威亦限乎此、而不得西被、撓隣国之権、而以嚇四方、仮継絶興滅之義、以鳴其盛、熾炎所煽、百蠻震恐、是其勢非席巻宇内而尽臣之則不止也、

書き下し

百児西嘗て衰乱し、鄂羅為に之を興復し、兵を合はせて度爾を撃破す。百児亜鄂羅と合へば、則ち度爾其の左臂を断たる。鄂羅素より大地の北に弥亙して、之が領襟と為り、今又声勢南海を震はし、大地を中断して、其の咽喉を扼し、度爾をして莫臥児と合ふことを得ざらしむ。満清の威も亦此に限られて、西に被ることを得ず。隣国の権を撓めて、以て四方を嚇し、継絶興滅の義を仮りて、以て其の盛を鳴らす。熾焰の煽る所、百蛮震恐す。是れ其の勢、宇内を席巻して尽く之を臣とするに非ずんば則ち止まざるなり。

現代語訳

ペルシアはかつて衰え乱れたが、ロシアがこれを立て直し、兵を合わせてトルコを撃ち破った。ペルシアがロシアと結べば、トルコは左腕を断たれたことになる。ロシアはもとより大地の北に長く広がってその襟首を押さえる位置にあり、いままた勢威が南の海まで響き、大陸を中ほどで断ち切ってその喉元を押さえ、トルコがムガルと手を結べないようにしている。清の威勢もここで止められて、西へは及ばない。隣国の権力をねじ曲げて四方を脅し、絶えた家を継がせ滅びた国を興すという大義を借りて、自らの盛んなことを誇示している。燃えさかる炎にあおられて、多くの異民族が震え恐れている。その勢いは、世界を席巻してことごとく臣従させなければ止まないものである。

解説

正志斎は、ロシアがペルシアと結んでトルコを挟み、ユーラシアの要所を押さえて清の西進も阻んでいると描く。さらに「継絶興滅」という儒教的な大義名分を借りて勢力を広げていると批判し、その勢いは世界を臣従させるまで止まないと警告する。当時のロシアとトルコの抗争や南下の動きを伝聞で組み立てた叙述であり、細部の正確さには限界がある。しかし、大国が要所を押さえ大義名分を掲げて影響力を広げるという見立ては、後の国際政治でも繰り返し論じられた。名目と実利を分けて相手の動きを読むことは、交渉や競争の場でも欠かせない。

この章句が説くこと

形勢鄂羅大義地政勢力新論

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