導師導古典を学びたいすべての人に

新論 / 國體上

昔也國造伴造世承祖業、而不墜其祀、中也王族廷臣緝合宗族、以保其爵位、下及近古、武夫猛將、猶能重總領、以管轄家衆、夫既自重血屬、孰敢不敬 天胤、故擧一世皆知 天位之不可犯、逆順既明、則大逆者固世之所不與、將無容於天地、亦惡得鳩聚醜類以逞其姦也、故雖國歩之時或有艱難、而 天胤之尊自若也、上之則 乘輿或播遷、而未嘗有一人敢朶頤 神器、下之則陪臣世擅天下之權、而亦不敢簒其主位、

新字:昔也国造伴造世承祖業、而不墜其祀、中也王族廷臣緝合宗族、以保其爵位、下及近古、武夫猛将、猶能重総領、以管轄家衆、夫既自重血属、孰敢不敬 天胤、故挙一世皆知 天位之不可犯、逆順既明、則大逆者固世之所不与、将無容於天地、亦悪得鳩聚醜類以逞其姦也、故雖国歩之時或有艱難、而 天胤之尊自若也、上之則 乗輿或播遷、而未嘗有一人敢朶頤 神器、下之則陪臣世擅天下之権、而亦不敢簒其主位、

書き下し

昔や国造・伴造、世々祖業を承けて、其の祀を墜さず。中ごろや王族廷臣、宗族を緝合して、以て其の爵位を保つ。下りて近古に及びても、武夫猛将、猶ほ能く総領を重んじて、以て家衆を管轄す。夫れ既に自ら血属を重んずれば、孰か敢へて天胤を敬せざらん。故に一世を挙げて皆天位の犯すべからざるを知る。逆順既に明かなれば、則ち大逆なる者は固より世の与せざる所にして、将に天地に容るる無からんとす。亦悪くんぞ醜類を鳩聚して以て其の姦を逞しくするを得んや。故に国歩の時に或は艱難有りと雖も、天胤の尊は自若たり。上は則ち乗輿或は播遷すれども、未だ嘗て一人も敢へて神器を朶頤する有らず。下は則ち陪臣世々天下の権を擅にすれども、亦敢へて其の主位を簒はず。

現代語訳

昔は国造や伴造が代々祖先の業を受け継ぎ、その祭祀を絶やさなかった。中ごろには王族や朝廷の臣が一族をまとめて、その爵位を保った。下って近い昔に至っても、武士や猛将はなお総領(一族の長)を重んじて家中を取りしまった。自分たちの血筋を重んじている以上、誰があえて天照大神の子孫を敬わないだろうか。だから世の中こぞって、天子の位は侵してはならないと知っていた。逆と順がすでに明らかなので、大逆を犯す者はもとより世の人が味方せず、天地の間に身の置き所がなくなる。どうして悪い仲間を集めて悪事をほしいままにできようか。だから国の歩みに時に困難があっても、天照大神の子孫の尊さは変わらなかった。上では天子の乗り物が都を離れてさすらうことがあっても、いまだかつて一人も神器をうかがい欲しがる者はなかった。下では陪臣が代々天下の権力をほしいままにしても、あえて主君の位を奪うことはなかった。

解説

正志斎は、古代の国造から近世の武家に至るまで、日本人が血筋と一族の長を重んじてきたことが、皇位を侵してはならないという意識を支えたと説く。天皇が都を離れる乱世があっても神器をねらう者はなく、陪臣が実権を握っても主君の位は奪わなかったという。後者は鎌倉幕府の執権北条氏などを念頭に置いたものと考えられる。歴史の実際には異論の余地もあるが、正志斎はこれを忠孝の遺風の証拠とみた。権力を持っても越えてはならない一線を共有していることが、組織や社会の安定を支えるという指摘は今も通じる。

この章句が説くこと

国体忠孝秩序名分天位水戸学

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る