新語 / 資質
質美者以通為貴,才良者以顯為能。何以言之?夫楩柟豫章,天下之名木也,生於深山之中,產於溪谷之傍,立則為大山眾木之宗,仆則為萬世之用,浮於山水之流,出於冥冥之野,因江、河之道,而達於京師之下,因斧斤之功,得舒其文色,精捍直理,密緻博通,蟲蝎不能穿,水溼不能傷,在高柔輭,入地堅彊,無膏澤而光潤生,不刻畫而文章成,上為帝王之御物,下則賜公卿,庶賤而得以備器械;閉絕以關梁,及隘於山阪之阻,隔於九𡵻之隄,仆於嵬崔之山,頓於窅冥之溪,樹蒙蘢蔓延而無間,石崔嵬嶄岩而不開,廣者無舟車之通,狹者無步擔之蹊,商賈所不至,工匠所不窺,知者所不見,見者所不知,功棄而德亡,腐朽而枯傷,轉於百仞之壑,惕然而獨僵,當斯之時,不如道傍之枯楊。
新字:質美者以通為貴,才良者以顕為能。何以言之?夫楩柟予章,天下之名木也,生於深山之中,産於渓谷之傍,立則為大山衆木之宗,仆則為万世之用,浮於山水之流,出於冥冥之野,因江、河之道,而達於京師之下,因斧斤之功,得舒其文色,精捍直理,密緻博通,虫蝎不能穿,水湿不能傷,在高柔輭,入地堅彊,無膏沢而光潤生,不刻画而文章成,上為帝王之御物,下則賜公卿,庶賤而得以備器械;閉絶以関梁,及隘於山阪之阻,隔於九𡵻之堤,仆於嵬崔之山,頓於窅冥之渓,樹蒙蘢蔓延而無間,石崔嵬嶄岩而不開,広者無舟車之通,狭者無歩担之蹊,商賈所不至,工匠所不窺,知者所不見,見者所不知,功棄而徳亡,腐朽而枯傷,転於百仞之壑,惕然而独僵,当斯之時,不如道傍之枯楊。
書き下し
質の美なる者は通ずるを以て貴しと為し、才の良なる者は顕わるるを以て能と為す。何を以て之を言うか。夫れ楩柟豫章は、天下の名木なり。深山の中に生じ、溪谷の傍に産し、立てば則ち大山衆木の宗と為り、仆るれば則ち万世の用と為る。山水の流れに浮かび、冥冥の野より出で、江・河の道に因りて、京師の下に達し、斧斤の功に因りて、其の文色を舒ぶるを得。精捍直理、密緻博通、蟲蝎も穿つ能わず、水湿も傷つくる能わず、高きに在りては柔軟、地に入りては堅彊、膏沢無くして光潤生じ、刻画せずして文章成る。上は帝王の御物と為り、下は則ち公卿に賜い、庶賤も以て器械に備うるを得。閉ざすに関梁を以てし、山阪の阻に隘まり、九𡵻の隄に隔てられ、嵬崔の山に仆れ、窅冥の溪に頓するに及びては、樹は蒙籠として蔓延して間無く、石は崔嵬として嶄岩にして開かず。広き者は舟車の通ずる無く、狭き者は歩担の蹊無く、商賈の至らざる所、工匠の窺わざる所、知者の見ざる所、見る者の知らざる所にして、功は棄てられ徳は亡び、腐朽して枯傷し、百仞の壑に転じ、惕然として独り僵る。斯の時に当たりては、道傍の枯楊に如かず。
現代語訳
資質の美しい者は世に通じることを貴び、才のすぐれた者は世に現れることを能とします。なぜそう言うのか。楩や柟、豫章といった木は天下の名木です。深い山に生じ、谷川のそばに育ち、立てば大きな山の木々の長となり、倒れれば万世の役に立ちます。山の流れに浮かび、暗い野から出て、長江や黄河の道を通って都のもとに達し、斧の働きによって、その木目や色を現すことができます。精緻で堅く、木目は真っすぐで、緻密で広く通じ、虫にも穿たれず、水湿にも傷まず、高い所では柔らかく、地に入れば堅く、油を塗らなくても光沢が生じ、彫り飾らなくても文様ができます。上は帝王の御物となり、下は公卿に賜わり、庶民も器具に備えることができます。しかし関所や橋に閉ざされ、山坂の険しさに挟まり、いくつもの堤に隔てられ、高い山に倒れ、暗い谷に留まると、木々は茂り蔓延して隙間がなく、石は険しくそびえて開けません。広い所には舟車が通らず、狭い所には歩いて担う小道もなく、商人も来ず、工匠も覗かず、知者も見ず、見る者も知らず、功は捨てられ徳は失われ、朽ちて枯れ傷み、深い谷に転がり、ひとり寂しく倒れ伏します。そのときは、道端の枯れた柳にも及びません。
解説
この章句が説くこと
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