臣軌 / 卷下 誠信章
夫可與為始、可與為終者,其唯信乎!信而又信,重襲於身,則可以暢於神明,通於天地矣。”昔魯哀公問於孔子曰:“請問取人之道。”孔子對曰:
新字:夫可与為始、可与為終者,其唯信乎!信而又信,重襲於身,則可以暢於神明,通於天地矣。”昔魯哀公問於孔子曰:“請問取人之道。”孔子対曰:
書き下し
夫れ与に始めを為す可く、与に終わりを為す可き者は、其れ唯だ信か。信にして又信、重ねて身に襲わば、則ち以て神明に暢び、天地に通ず可し」と。昔、魯の哀公、孔子に問いて曰く、「請う、人を取るの道を問わん」と。孔子対えて曰く、
現代語訳
(前の引用の結び)「ともに事を始めることができ、ともに事を終えることができるのは、ただ信だけであろう。信の上にさらに信を重ね、何重にも身にまとうならば、神明にまで届き、天地にも通じることができる」。昔、魯の哀公が孔子に「人を採用する道をお尋ねしたい」と問うた。孔子はこう答えた。
解説
誠信章の中で、信こそが事を始め終えるための唯一の支えだと述べ、魯の哀公と孔子の問答へつなぐ一段である。始めるときに手を組むことはできても、最後まで共にやり遂げられるかどうかは信にかかっている。信の上に信を重ねて身にまとえば、神明にも天地にも通じるという。注は、襲とは服すなわち身にまとうこと、暢とは通ずることだと説く。続く孔子の答えは、弓は調ってから強さを求め、馬は慣らしてから良さを求め、士は信があってから知恵や能力を求めよ、というもので、注もその趣旨で解いている。事業を始める相手は多くても、最後まで一緒にやれる相手は少ない。人を選ぶときにまず見るべきは能力ではなく信であるという教えは、採用の場面にそのまま生きる。
関連する章句
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『臣軌』卷下 誠信章凡そ人の情は、誠信を愛せざるは莫し。誠信なる者は、即ち其の心知り易し。故に孔子曰く、「上と為りては事え易く、下と為りては知り易し」と。誠信に非ざれば以て愛を其の君に取る無く、誠信に非ざれば以て親を百姓に取る無し。故に上下誠を通ずる者は、則ち暗に相信じて疑わず、其の誠通ぜざる者は、則ち近くとも疑いを懐きて信ぜず。孔子曰く、「人にして信無くんば、其の可なるを知らず。大車に輗無く、小車に軏無くんば、其れ何を以て之を行らんや」と。
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『臣軌』卷下 誠信章弓は調いて而る後に勁きを求め、馬は服して而る後に良きを求む。士は必ず愨信にして而る後に智を求む。もし士、愨信ならずして智能有らば、これを豺狼に譬う、近づくべからざるなり。
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『臣軌』卷下 誠信章昔、子貢政を問う。子曰く、「食を足し、兵を足し、人之を信ず」と。子貢曰く、「必ず已むを得ずして去らば、斯の三者に於いて何をか先にせん」と。曰く、「兵を去らん」と。子貢曰く、「必ず已むを得ずして去らば、斯の二者に於いて何をか先にせん」と。曰く、「食を去らん。古より皆死有り、人信無くんば立たず」と。『体論』に曰く、「君子の身を修むるは、誠信より善きは莫し。夫れ誠信なる者は、君子の君上に事え、下人を懐くる所以なり。天は言わずして人高きを推し、地は言わずして人厚きを推し、四時は言わずして人与に期す。此れ誠信を以て本と為す者なり。故に誠信なる者は、天地の守る所にして君子の貴ぶ所なり。『傅子』に曰く、「言は口より出で、心に結ぶ。守りて以て移さず、以て其の身を立つ。此れ君子の信なり。故に臣と為りて信ならざれば以て君に奉ずるに足らず、子と為りて信ならざれば以て父に事うるに足らず。故に臣信を以て其の君に忠なれば、則ち君臣の道逾々睦まじく、子信を以て其の父に孝なれば、則ち父子の情益々隆し。夫れ仁者は妄りに為さず、知者は妄りに動かず。是を択びて之を為し、義を計りて之を行う。故に事立ちて功恃むに足り、身没して名称するに足る。仁智有りと雖も、必ず誠信を以て本と為す。故に誠信を以て本と為す者、之を君子と謂い、詐偽を以て本と為す者、之を小人と謂う。君子は殞すと雖も、善名は減ぜず、小人は貴しと雖も、悪名は除かれず」と。
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荀子・哀公篇魯の哀公、孔子に問いて曰く、請う、人を取ることを問わん、と。孔子対えて曰く、健を取ること無かれ、詌(かん)を取ること無かれ、口啍(こうとん)を取ること無かれ。健は貪なり、詌は乱なり、口啍は誕なり。故に弓は調(ととの)いて而る後に勁(つよ)きを求め、馬は服(なら)いて而る後に良を求め、士は信愨(しんかく)にして而る後に知能を求む。士、信愨ならずして知能多き有らば、之を譬うれば其れ豺狼(さいろう)なり、身を以て近づくべからず。語に曰く、桓公は其の賊を用い、文公は其の盗を用う、と。故に明主は計に任じて怒を信ぜず、闇主は怒を信じて計に任ぜず。計、怒に勝てば則ち彊(つよ)く、怒、計に勝てば則ち亡ぶ。
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荀子・哀公篇魯の哀公、孔子に問いて曰く、吾、吾が国の士を論(えら)び、之と国を治めんと欲す。敢えて問う、如何にして之を取らんや、と。孔子対えて曰く、今の世に生まれて古の道を志し、今の俗に居りて古の服を服す。此に舍(お)りて非を為す者は、亦た鮮(すく)なからずや、と。
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貞観政要・誠信臣聞く、国を為むるの基は、必ず徳礼に資る。君の保つ所は、惟だ誠信に在り。誠信立てば則ち下に二心無く、徳礼形(あら)わるれば則ち遠人斯(ここ)に格(いた)る。然らば則ち徳礼誠信は、国の大綱なり。君臣父子に在りて、斯須(ししゅ)も廃すべからざるなり。故に孔子曰く、「君は臣を使うに礼を以てし、臣は君に事うるに忠を以てす」と。又た曰く、「古より皆な死有り。民は信無くんば立たず」と。文子曰く、「言を同じくして信ぜらるるは、信は言の前に在り。令を同じくして行わるるは、誠は令の外に在り」と。然らば則ち言いて信ぜられざるは、言に信無きなり。令して従われざるは、令に誠無きなり。不信の言、無誠の令は、上と為れば則ち徳を敗り、下と為れば則ち身を危うくす。顛沛の中に在りと雖も、君子の為さざる所なり。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
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