臣軌 / 卷下 誠信章
弓調而後求勁焉、馬服而後求良焉。士必愨信而後求智焉。若士不愨信而有智能、譬之豺狼不可近也。”
書き下し
弓は調いて而る後に勁きを求め、馬は服して而る後に良きを求む。士は必ず愨信にして而る後に智を求む。もし士、愨信ならずして智能有らば、これを豺狼に譬う、近づくべからざるなり。
現代語訳
弓はまず狂いなく調ってから、強さを求める。馬はまず馴れてから、良さを求める。士はまず誠実で信があってから、知恵を求める。もし士が誠実でも信でもないのに知恵と能力があるなら、それは山犬や狼のようなもので、近づいてはならない。
解説
魯の哀公に「人を取る道」を問われた孔子の答えである。順序が明確で、弓は調ってから強さ、馬は馴れてから良さ、人は誠実さがあってから知恵。能力は後から見るものだ、と。そして条件を外れた場合の判定が容赦ない。誠実でないのに有能な者は豺狼であって、近づくな。有能だから多少の不誠実は目をつぶる、という妥協を正面から否定している。採用でも登用でも、この順序を守れるかどうかが分かれ目になる。能力の高い人ほど、順序を崩す誘惑が強いからである。
この章句が説くこと
弓調いて後に勁きを求む愨信にして後に智豺狼人を取る道誠実
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