韓非子 / 外儲說左下第三十三
虎不善樹人。」主俛而笑曰:「樹橘柚者,食之則甘,嗅之則香;樹枳棘者,成而刺人。故君子慎所樹。
書き下し
夫れ橘柚を樹うる者は、之を食えば則ち甘く、之を嗅げば則ち香し。枳棘を樹うる者は、成れば而ち人を刺す。故に君子は樹つる所を慎む。
現代語訳
そもそも橘や柚を植える者は、食べれば甘く、嗅げば香しい。枳や棘(いばら)を植える者は、成長すれば人を刺す。ゆえに君子は植えるものを慎重に選ぶ。
解説
橘やゆずを植えれば、実は食べれば甘く、香りをかげば良い匂いがして、植えた人に恵みをもたらします。ところが枳(からたち)やいばらを植えれば、育った末に人を刺すだけです。だからこそ、立派な人は何を植えるか、つまり誰を育て誰を取り立てるかを、慎重に選ぶのだというたとえです。家庭で子どもにどんな習慣や考え方を育てるか、職場でどんな人を大事な役目に就けるかは、何年も先になって初めて結果が表れます。今は少々手間がかかっても、誠実に取り組む人を育てておけば、後々そのおかげを受けます。反対に、目先の都合だけで人当たりの良さや口の巧さだけを見て取り立ててしまうと、いつか周りを傷つける種をまいてしまうことになりかねません。誰を大切に育てるかという選び方こそが、人の上に立つ者にとって最も重い決断なのです。
この章句が説くこと
人材育成人材登用採用組織風土慎重な選択
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