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臣軌 / 卷上 公正章

孔子曰:“苟正其身,於從政乎?何有不能正其身,如正人何?”又曰:“其身正,不令而行;其身不正,雖令不從。”《說苑》曰:人臣之行有六正、六邪,行六正則榮,犯六邪則辱。夫榮辱者,禍福之門也。何謂六正六邪?

新字:孔子曰:“苟正其身,於従政乎?何有不能正其身,如正人何?”又曰:“其身正,不令而行;其身不正,雖令不従。”《説苑》曰:人臣之行有六正、六邪,行六正則栄,犯六邪則辱。夫栄辱者,禍福之門也。何謂六正六邪?

書き下し

孔子曰く、「苟くも其の身を正しくせば、政に従うに於いて何か有らん。其の身を正しくする能わずんば、人を正しくするを如何せん」と。又曰く、「其の身正しければ、令せずして行われ、其の身正しからざれば、令すと雖も従わず」と。『説苑』に曰く、人臣の行いに六正・六邪有り、六正を行えば則ち栄え、六邪を犯せば則ち辱めらる。夫れ栄辱なる者は、禍福の門なり。何をか六正六邪と謂う。

現代語訳

孔子は「もし自分の身を正しくすれば、政治に携わるのに何の難しいことがあろうか。自分の身を正しくできなければ、人を正すことなどどうしてできようか」と言った。また「自分の身が正しければ、命令しなくても行われ、自分の身が正しくなければ、命令しても従われない」とも言った。『説苑』(前漢の劉向が編んだ説話集)には、人臣の行いには六つの正しい道(六正)と六つの邪な道(六邪)があり、六正を行えば栄え、六邪を犯せば辱められる、とある。栄と辱とは、禍と福の出入りする門である。では六正・六邪とは何か。

解説

公正章の中で、『論語』子路篇の二つの言葉を引いて、人を正すにはまず自分が正しくあれという原則を示し、『説苑』臣術篇の六正六邪へ話をつなぐ一段である。自分が正しければ命令しなくても人は動き、正しくなければ命令しても従わない。上に立つ者の身の処し方が、そのまま組織の規律になるということだ。続く六正六邪は、聖臣・良臣・忠臣・智臣・貞臣・直臣の六つの正と、具臣・諛臣・奸臣・讒臣・賊臣・亡国之臣の六つの邪を並べた臣下の分類で、この一段はその問いかけで終わる。栄辱は禍福の門だというのは、臣の行いがそのまま身の禍福を分けるという意味である。部下に言う前に自分がやっているかを問う姿勢は、今の管理職の基本でもある。

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