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詩経 / 大雅・生民之什・巻阿

《卷阿》,召康公戒成王也。言求賢用吉士也。 有卷者阿,飄風自南。豈弟君子,來遊來歌,以矢其音。 伴奐爾遊矣,優遊爾休矣。豈弟君子,俾爾彌爾性,似先公酋矣。 爾土宇昄章,亦孔之厚矣。豈弟君子,俾爾彌爾性,百神爾主矣。 爾受命長矣,茀祿爾康矣。豈弟君子,俾爾彌爾性,純嘏爾常矣。 有馮有翼,有孝有德,以引以翼。豈弟君子,四方為則。 顒顒卬卬,如圭如璋,令聞令望。豈弟君子,四方為綱。 鳳皇于飛,翽翽其羽,亦集爰止。藹藹王多吉士,維君子使,媚于天子。 鳳皇于飛,翽翽其羽,亦傅于天。藹藹王多吉人,維君子命,媚于庶人。 鳳皇鳴矣,于彼高岡。梧桐生矣,于彼朝陽。菶菶萋萋,雝雝喈喈。 君子之車,既庶且多。君子之馬,既閑且馳。矢詩不多,維以遂歌。

新字:《巻阿》,召康公戒成王也。言求賢用吉士也。 有巻者阿,飄風自南。豈弟君子,来遊来歌,以矢其音。 伴奐爾遊矣,優遊爾休矣。豈弟君子,俾爾弥爾性,似先公酋矣。 爾土宇昄章,亦孔之厚矣。豈弟君子,俾爾弥爾性,百神爾主矣。 爾受命長矣,茀禄爾康矣。豈弟君子,俾爾弥爾性,純嘏爾常矣。 有馮有翼,有孝有徳,以引以翼。豈弟君子,四方為則。 顒顒卬卬,如圭如璋,令聞令望。豈弟君子,四方為綱。 鳳皇于飛,翽翽其羽,亦集爰止。藹藹王多吉士,維君子使,媚于天子。 鳳皇于飛,翽翽其羽,亦傅于天。藹藹王多吉人,維君子命,媚于庶人。 鳳皇鳴矣,于彼高岡。梧桐生矣,于彼朝陽。菶菶萋萋,雝雝喈喈。 君子之車,既庶且多。君子之馬,既閑且馳。矢詩不多,維以遂歌。

書き下し

巻阿(けんあ)は、召康公(しょうこうこう)成王を戒むるなり。賢を求め吉士を用うるを言うなり。 巻(けん)たる有る者は阿(おか)、飄風(ひょうふう)南よりす。豈弟(がいてい)の君子、来たり遊び来たり歌い、以て其の音を矢(つら)ぬ。 伴奐(はんかん)として爾(なんじ)遊び、優遊として爾休む。豈弟の君子、爾をして爾の性(せい)を彌(おわ)らしめ、先公に似て酋(つ)がしめん。 爾の土宇昄章(はんしょう)、亦孔(はなは)だ之れ厚し。豈弟の君子、爾をして爾の性を彌らしめ、百神爾を主とせん。 爾命を受くること長く、茀禄(ふつろく)爾康(やす)し。豈弟の君子、爾をして爾の性を彌らしめ、純嘏(じゅんか)爾の常ならん。 馮(よ)る有り翼(たす)くる有り、孝有り徳有り、以て引き以て翼く。豈弟の君子、四方則と為す。 顒顒(ぎょうぎょう)卬卬(ごうごう)として、圭(けい)の如く璋(しょう)の如く、令聞令望あり。豈弟の君子、四方綱と為す。 鳳皇于(ここ)に飛び、翽翽(かいかい)たる其の羽、亦集まりて爰(ここ)に止まる。藹藹(あいあい)として王に吉士多し、維(こ)れ君子の使いにして、天子に媚(した)う。 鳳皇于に飛び、翽翽たる其の羽、亦天に傅(いた)る。藹藹として王に吉人多し、維れ君子の命にして、庶人に媚う。 鳳皇鳴く、彼の高岡に。梧桐(ごどう)生ず、彼の朝陽に。菶菶(ほうほう)萋萋(せいせい)として、雝雝(ようよう)喈喈(かいかい)たり。 君子の車、既に庶(おお)く且つ多し。君子の馬、既に閑(なら)い且つ馳す。詩を矢ぬること多からず、維れ以て歌を遂ぐ。

現代語訳

「巻阿」の詩は、召康公(召公奭)が成王を戒めたものである。賢者を求め、すぐれた人物を用いることを述べている。 曲がりくねった大きな丘に、つむじ風が南から吹いてくる。和やかで慈しみ深い君子が、やって来て遊び、やって来て歌い、その歌声を連ねて聞かせる。 ゆったりとあなたは遊び、のびやかにあなたは憩う。和やかで慈しみ深い君子よ、あなたがその命を全うし、先代の君主たちに似てその業を成し遂げられますように。 あなたの国土と版図は、まことに広く手厚い。和やかで慈しみ深い君子よ、あなたがその命を全うし、あらゆる神々があなたを祭りの主として仰ぎますように。 あなたが受けた天命は長く、福禄はあなたを安らかにする。和やかで慈しみ深い君子よ、あなたがその命を全うし、大いなる福がいつもあなたのものでありますように。 頼りとなる者があり、助ける者があり、孝ある者があり、徳ある者がいて、あなたを導き、あなたを支える。和やかで慈しみ深い君子を、四方の国々は手本とする。 おごそかで気高く、圭や璋(儀式に用いる玉器)のように清らかで、よい評判とよい人望がある。和やかで慈しみ深い君子を、四方の国々は大綱と仰ぐ。 鳳凰が飛んでいく、ばさばさと羽を鳴らして、群れ集まって止まる。王のもとには立派な士が多く集まり、君子の命を受けて働き、天子を慕う。 鳳凰が飛んでいく、ばさばさと羽を鳴らして、天の高みにまで届く。王のもとには立派な人が多く集まり、君子の命を受けて働き、民を慈しむ。 鳳凰が鳴いている、あの高い丘の上で。青桐が生えている、あの朝日の当たる東の斜面に。桐の葉はこんもりと茂り、鳳凰の声は和やかに響き合う。 君子の車は、数も多くそろっている。君子の馬は、よく慣らされて速く駆ける。捧げる詩は多くはないが、これで歌を歌い終えよう。

解説

王が大きな丘に遊ぶ場で臣下が詩を献じ、王の長寿と福を祈りつつ、賢者を集めることを勧める詩である。前半は「豈弟の君子」を繰り返して王の命と福を祝い、後半は鳳凰が群れ飛び、朝日の当たる丘の青桐に止まって鳴く姿を描いて、すぐれた人材が王のもとに集まる様をたとえる。毛詩序は召康公が成王を戒め、賢者を求め吉士を用いることを説いた詩と読む。鳳凰は梧桐でなければ止まらないとされ、よい君主のもとにこそよい人が集まるという連想から、後世「鳳鳴朝陽(ほうめいちょうよう)」の語が生まれ、世にまれな賢者の登場や、臆せず直言する臣を指す言葉として用いられた。人が集まる組織には、まず人が止まりたくなる木が要る。その木を育てるのは上に立つ者の徳だ、というのがこの詩の含みである。

この章句が説くこと

詩経鳳凰賢者人材召公

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