詩経 / 国風・鄭風・丰
《丰》,刺亂也。昏姻之道缺,陽倡而陰不和,男行而女不隨。 子之丰兮,俟我乎巷兮,悔予不送兮! 子之昌兮,俟我乎堂兮,悔予不將兮! 衣錦褧衣,裳錦褧裳。叔兮伯兮,駕予與行! 裳錦褧裳,衣錦褧衣。叔兮伯兮,駕予與歸。
新字:《丰》,刺乱也。昏姻之道欠,陽倡而陰不和,男行而女不随。 子之丰兮,俟我乎巷兮,悔予不送兮! 子之昌兮,俟我乎堂兮,悔予不将兮! 衣錦褧衣,裳錦褧裳。叔兮伯兮,駕予与行! 裳錦褧裳,衣錦褧衣。叔兮伯兮,駕予与帰。
書き下し
丰(ほう)は、乱を刺るなり。昏姻の道欠け、陽倡(とな)えて陰和せず、男行きて女随わず。 子(し)の丰(ほう)たる、我を巷(ちまた)に俟(ま)てり。予(われ)の送らざりしを悔ゆ。 子の昌(さかん)なる、我を堂に俟てり。予の将(したが)わざりしを悔ゆ。 錦を衣(き)て褧衣(けいい)し、錦を裳(も)して褧裳(けいしょう)す。叔よ伯よ、予を駕(が)して与(とも)に行け。 錦を裳して褧裳し、錦を衣て褧衣す。叔よ伯よ、予を駕して与に帰(とつ)がしめよ。
現代語訳
「丰」の詩は、世の乱れをそしったものである。婚姻の道が欠け、男が求めても女が応じず、男が迎えに行っても女がついて行かなかったことをいう。 あなたはふくよかで立派な人、路地でわたしを待っていてくれた。ついて行かなかったのが悔やまれる。 あなたはたくましく盛んな人、座敷でわたしを待っていてくれた。従って行かなかったのが悔やまれる。 錦の上衣に薄絹の打掛を重ね、錦の裳に薄絹の裳を重ねる。叔さん、伯さん、車を仕立てて、わたしを一緒に連れて行って。 錦の裳に薄絹の裳を重ね、錦の上衣に薄絹の打掛を重ねる。叔さん、伯さん、車を仕立てて、わたしを嫁がせて。
解説
迎えに来てくれた立派な男に従わなかったことを悔い、今度こそ錦の衣を着て嫁いでいきたい、と女が歌う。前半二章は後悔、後半二章は婚礼の装いと車の用意を願う言葉で、心の動きが順にたどれる。毛詩序は、婚姻の道が乱れ、男が求めても女が応じない世の風をそしった詩と読む。朱熹は、女が約束を違えたことを悔いる歌とし、礼を外れた歌と見た。「錦を衣て褧衣す」は、華やかな錦の上に薄い絹を重ねて派手さを抑える装いで、『中庸』の「詩に曰く、錦を衣て絅(けい)を尚(くわ)う」は、この句や衛風「碩人」の句に関わると考えられている。そこでは美を内に包む君子の道のたとえとなった。一度逃した機会を悔やむ心と、次は迷わないと決める心とが、四章のなかに並んでいる。
この章句が説くこと
詩経鄭婚礼後悔錦
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