詩経 / 国風・衛風・碩人
《碩人》,閔莊姜也。莊公惑於嬖妾,使驕上僭。莊姜賢而不答,終以無子,國人閔而憂之。 碩人其頎,衣錦褧衣,齊侯之子,衛侯之妻。東宮之妹,邢侯之姨,譚公維私。 手如柔荑,膚如凝脂。領如蝤蠐,齒如瓠犀。螓首蛾眉,巧笑倩兮,美目盼兮。 碩人敖敖,說于農郊。四牡有驕,朱幩鑣鑣,翟茀以朝。大夫夙退,無使君勞。 河水洋洋,北流活活。施罛濊濊,鱣鮪發發,葭菼揭揭。庶姜孽孽,庶士有朅。
新字:《碩人》,閔荘姜也。荘公惑於嬖妾,使驕上僭。荘姜賢而不答,終以無子,国人閔而憂之。 碩人其頎,衣錦褧衣,斉侯之子,衛侯之妻。東宮之妹,邢侯之姨,譚公維私。 手如柔荑,膚如凝脂。領如蝤蠐,歯如瓠犀。螓首蛾眉,巧笑倩兮,美目盼兮。 碩人敖敖,説于農郊。四牡有驕,朱幩鑣鑣,翟茀以朝。大夫夙退,無使君労。 河水洋洋,北流活活。施罛濊濊,鱣鮪発発,葭菼掲掲。庶姜孽孽,庶士有朅。
書き下し
碩人は、荘姜(そうきょう)を閔(あわれ)むなり。荘公嬖妾(へいしょう)に惑い、驕りて上を僭(おか)さしむ。荘姜賢なれども答えられず、終に子無きを以て、国人閔みてこれを憂うるなり。 碩人其れ頎(き)たり、錦を衣(き)て褧衣(けいい)す。斉侯の子、衛侯の妻。東宮の妹、邢侯(けいこう)の姨(い)、譚公(たんこう)は維(こ)れ私(し)なり。 手は柔荑(じゅうてい)の如く、膚は凝脂(ぎょうし)の如し。領(くび)は蝤蠐(しゅうせい)の如く、歯は瓠犀(こさい)の如し。螓首(しんしゅ)蛾眉(がび)、巧笑倩(せん)たり、美目盼(はん)たり。 碩人敖敖(ごうごう)たり、農郊に説(やど)る。四牡驕(きょう)たる有り、朱幩(しゅふん)鑣鑣(ひょうひょう)たり、翟茀(てきふつ)以て朝す。大夫夙(つと)に退き、君をして労せしむる無かれ。 河水洋洋たり、北に流れて活活(かつかつ)たり。罛(こ)を施すこと濊濊(かつかつ)たり、鱣鮪(せんい)発発(はつはつ)たり、葭菼(かたん)揭揭(けつけつ)たり。庶姜(しょきょう)孽孽(げつげつ)たり、庶士朅(けつ)たる有り。
現代語訳
「碩人」の詩は、荘姜(衛の荘公の夫人)を気の毒に思ったものである。荘公は寵愛する妾に心を奪われ、その妾をおごらせて夫人の上をしのぐようにさせた。荘姜は賢い人であったが夫に顧みられず、ついに子もなかったので、国の人々は彼女を哀れんで憂えたのである。 背の高い麗しいお方は、錦の衣の上に薄い単衣(ひとえ)をはおっている。斉侯の娘にして、衛侯の妻。斉の太子の妹であり、邢侯の妻の姉妹、譚公は姉妹の夫にあたる。 手は茅の若芽のように柔らかく、肌は固まった脂のように白くなめらか。首は木の幼虫のように白く長く、歯は瓢(ひさご)の種のように白くそろっている。蟬のように広い額に蛾の触角のような眉。愛らしく笑えば口もとが美しく、美しい目は白と黒とがくっきりと澄んでいる。 背の高い麗しいお方は、都の郊外で車を止めて休む。四頭の雄馬はたくましく、くつわの赤い飾り布がひらひらとたなびき、きじの羽で覆った車で朝廷に向かう。大夫たちよ早めに退出し、君にお疲れをかけぬように。 黄河の水はなみなみと満ち、北へ勢いよく流れてゆく。投網を打てばざぶざぶと音を立て、大きな魚が跳ね回り、葦や荻は高く伸びている。付き従う斉の姫たちは華やかに装い、供の士たちは勇ましい。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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呂氏春秋・先己④詩に曰く、「轡を執ること組の如し。」孔子曰く、「此の言を審らかにすれば、以て天下を為む可し。」子貢曰く、「何ぞ其れ躁なるや。」孔子曰く、「其の躁なるを謂うに非ざるなり。其の之を此に為めて、文を彼に成すを謂えるなり。」聖人は其の身を組修して、文を天下に成す。故に子華子曰く、「丘陵成りて、穴する者安んじ、深淵成りて魚鱉安んじ、松柏成りて塗の人已に蔭せらる。」
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孔子家語・論禮子夏、孔子に侍坐して曰わく、「敢えて問う、詩に云う、『愷悌の君子は、民の父母』と。何如なれば斯れ民の父母と謂うべきか。」孔子曰わく、「夫れ民の父母は、必ず礼楽の源に達し、以て五至を致し三無を行い、以て天下に横たわる。四方に敗有れば、必ず先んじてこれを知る。此れを民の父母と謂う。」
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論語・八佾篇『関雎』は楽しくして淫せず、哀しくして傷(やぶ)らず。
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荀子・宥坐篇詩に曰く、「彼の日月を瞻(み)れば、悠悠たり我が思い。道の云(ここ)に遠き、曷(いつ)か云に能く来たらん」と。子曰く、「伊(そ)れ稽首(けいしゅ)せば、其れ来たること有らざらんや」と。
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『呻吟語』外篇・治道・民の父母『詩』に云ふ、「樂しき君子は、民の父母」と。又た曰く、「豈弟の君子は、民の父母」と。君子は『詩』に觀て、政を為すの道を知るなり。
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