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詩経 / 国風・鄘風・柏舟

《柏舟》,共姜自誓也。衛世子共伯蚤死,其妻守義,父母欲奪而嫁之,誓而弗許,故作是詩以絶之。 汎彼柏舟,在彼中河。髧彼兩髦,實維我儀。之死矢靡它。母也天只,不諒人只! 汎彼柏舟,在彼河側。髧彼兩髦,實維我特。之死矢靡慝。母也天只,不諒人只。

新字:《柏舟》,共姜自誓也。衛世子共伯蚤死,其妻守義,父母欲奪而嫁之,誓而弗許,故作是詩以絶之。 汎彼柏舟,在彼中河。髧彼両髦,実維我儀。之死矢靡它。母也天只,不諒人只! 汎彼柏舟,在彼河側。髧彼両髦,実維我特。之死矢靡慝。母也天只,不諒人只。

書き下し

柏舟は、共姜(きょうきょう)自ら誓うなり。衛の世子共伯蚤(はや)く死し、其の妻義を守る。父母奪いてこれを嫁がしめんと欲するも、誓いて許さず、故に是の詩を作りて以てこれを絶つ。 汎(はん)たる彼の柏舟(はくしゅう)は、彼の中河に在り。髧(たん)たる彼の両髦(りょうぼう)は、実(まこと)に維(こ)れ我が儀(つま)なり。死に之(いた)るまで矢(ちか)って它(た)靡(な)し。母や天や、人を諒(まこと)とせず。 汎たる彼の柏舟は、彼の河側に在り。髧たる彼の両髦は、実に維れ我が特(つま)なり。死に之るまで矢って慝(とく)靡し。母や天や、人を諒とせず。

現代語訳

「柏舟」の詩は、共姜(きょうきょう)が自ら誓いを立てたものである。衛の世継ぎ共伯が早く世を去り、その妻は節義を守った。父母は彼女の志を奪って再び嫁がせようとしたが、彼女は誓って聞き入れず、この詩を作って縁談を断ち切ったのである。 ゆらゆらと漂う柏(かしわ)の舟は、河の真ん中にある。額に垂れた二つの前髪のあの人こそ、まことに私の連れ合い。死ぬまで他の人には嫁がないと誓う。母よ、天よ、どうして私の心を分かってくださらないのか。 ゆらゆらと漂う柏の舟は、河のほとりにある。額に垂れた二つの前髪のあの人こそ、まことに私のただ一人の相手。死ぬまで心変わりはしないと誓う。母よ、天よ、どうして私の心を分かってくださらないのか。

解説

河に漂う柏の舟を歌い起こし、心に決めた相手のほかには嫁がないと、母と天に向かって訴える女性の詩である。毛詩序は、衛の世子共伯が早世したのち、その妻共姜が再婚を迫る父母に対して貞節を誓った歌とする。両髦は若者が額の左右に垂らした髪型で、若くして亡くなった夫の面影を指すと読まれる。一方、詩そのものからは、親が決めた縁談に逆らって意中の人を選ぶ娘の叫びとも読める。朱熹は序の読みに従っているが、どちらに取っても、この詩の芯は親にさえ理解されない一途な思いにある。「母や天や、人を諒とせず」という結びは、最も近いはずの人に分かってもらえない悲しみを短く言い切っている。後世「柏舟の節」は、夫を亡くした女性の貞節を指す言葉となった。

この章句が説くこと

詩経貞節誓い鄘共姜

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