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詩経 / 国風・邶風・匏有苦葉

《匏有苦葉》,刺衛宣公也。公與夫人並為淫亂。 匏有苦葉,濟有深涉。深則厲,淺則揭。 有瀰濟盈,有鷕雉鳴。濟盈不濡軌,雉鳴求其牡。 雝雝鳴雁,旭日始旦。士如歸妻,迨冰未泮。 招招舟子,人涉卬否。人涉卬否,卬須我友。

新字:《匏有苦葉》,刺衛宣公也。公与夫人並為淫乱。 匏有苦葉,済有深渉。深則厲,浅則掲。 有瀰済盈,有鷕雉鳴。済盈不濡軌,雉鳴求其牡。 雝雝鳴雁,旭日始旦。士如帰妻,迨冰未泮。 招招舟子,人渉卬否。人渉卬否,卬須我友。

書き下し

匏有苦葉(ほうゆうくよう)は、衛の宣公を刺るなり。公と夫人と並びに淫乱を為す。 匏(ひさご)に苦き葉有り、済(せい)に深き渉(わたり)有り。深ければ則ち厲(れい)し、浅ければ則ち掲(けい)す。 瀰(び)たる有りて済盈(み)ち、鷕(よう)たる有りて雉鳴く。済盈ちて軌(じく)を濡らさず、雉鳴きて其の牡(おす)を求む。 雝雝(ようよう)たる鳴雁、旭日始めて旦(あ)く。士如(も)し妻を帰(めと)らば、冰(こおり)の未だ泮(と)けざるに迨(およ)べ。 招招(しょうしょう)たる舟子(しゅうし)、人は渉るも卬(われ)は否(しか)らず。人は渉るも卬は否らず、卬は我が友を須(ま)つ。

現代語訳

「匏有苦葉」の詩は、衛の宣公をそしったものである。宣公と夫人がともにみだらな行いをした。 ひょうたんには苦い葉がついている、済水の渡し場は深い。深ければ衣を着たまま渡り、浅ければ裾をからげて渡ろう。 済水は満々と水をたたえ、きじはヨウヨウと鳴く。水が満ちているのに車軸を濡らさずに渡れるものか。きじは鳴いて雄を求めている。 ガアガアと鳴き交わす雁の群れ、朝日が昇り夜が明け始める。殿方がもし妻をめとるなら、氷がまだ解けないうちに。 舟の渡し守が手招きする。人は渡っても、わたしは渡らない。人は渡っても、わたしは渡らない。わたしは待っているのだ、あのいとしい人を。

解説

済水の渡し場を舞台に、恋人を待つ娘の心を歌った詩である。ひょうたんの葉が苦くなる秋の頃、水かさの増した川辺できじが雄を呼び、雁が朝の空を鳴き渡る。最後の章では、渡し守が手招きして他の人々は舟に乗るが、わたしは乗らない、友を待っているのだから、と娘がきっぱりと言う。毛詩序はこれを、衛の宣公と夫人がともに淫乱であったことをそしる詩と読み、「雉鳴きて其の牡を求む」を、礼にかなわぬ相手を求める比喩と解した。朱熹も淫乱をそしる詩とする点は同じだが、詩そのものからは、婚礼の時期を気にしつつ恋人を待つ娘の率直な恋歌として読むことができる。「深ければ則ち厲し、浅ければ則ち掲す」の二句は、『論語』憲問篇で荷蕢の者が孔子を評する言葉に引かれ、状況に応じて身の処し方を変えよという意で用いられた。周りが渡っても自分は待つ。その選択にも一つの強さがある。

この章句が説くこと

詩経恋待つ論語邶風

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