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詩経 / 国風・邶風・雄雉

《雄雉》,刺衛宣公也。淫亂不恤國事,軍旅數起,大夫久役,男女怨曠,國人患之而作是詩。 雄雉于飛,泄泄其羽。我之懷矣,自詒伊阻! 雄雉于飛,下上其音。展矣君子,實勞我心! 瞻彼日月,悠悠我思!道之云遠,曷云能來? 百爾君子,不知德行。不忮不求,何用不臧?

新字:《雄雉》,刺衛宣公也。淫乱不恤国事,軍旅数起,大夫久役,男女怨曠,国人患之而作是詩。 雄雉于飛,泄泄其羽。我之懐矣,自詒伊阻! 雄雉于飛,下上其音。展矣君子,実労我心! 瞻彼日月,悠悠我思!道之云遠,曷云能来? 百爾君子,不知徳行。不忮不求,何用不臧?

書き下し

雄雉(ゆうち)は、衛の宣公を刺るなり。淫乱にして国事を恤(うれ)えず、軍旅数(しばしば)起こり、大夫久しく役し、男女怨曠(えんこう)す。国人これを患(うれ)えて是の詩を作る。 雄雉于に飛ぶ、泄泄(えいえい)たる其の羽。我の懐(おも)い、自ら伊(こ)の阻(へだ)てを詒(のこ)す。 雄雉于に飛ぶ、其の音を下上す。展(まこと)なるかな君子、実に我が心を労す。 彼の日月を瞻(み)れば、悠悠たる我が思い。道の云(ここ)に遠き、曷(なん)ぞ云に能く来たらん。 百(すべ)て爾(なんじ)ら君子、徳行を知らず。忮(そこな)わず求めずんば、何を用(もっ)てか臧(よ)からざらん。

現代語訳

「雄雉」の詩は、衛の宣公をそしったものである。宣公はみだらで国の政治を顧みず、戦争がたびたび起こり、大夫たちは長く兵役に出て、夫婦は離ればなれとなって互いに怨み嘆いた。国の人々はこれを憂えて、この詩を作ったのである。 雄のきじが飛んでゆく、ゆったりと羽ばたいて。わたしの思いは、自らこの隔たりを招いてしまった。 雄のきじが飛んでゆく、上に下にその鳴き声を響かせて。まことにあの方は、わたしの心を苦しませる。 あの日や月の移りゆくのを見れば、わたしの思いは果てしない。道はあまりに遠く、どうして帰って来られよう。 世の君子たちよ、あなたがたは徳ある行いを知らない。人を損なわず、むさぼり求めなければ、どうしてよくないことがあろうか。

解説

美しい羽を広げて飛んでいく雄のきじを見ながら、遠くへ行ったまま戻らない夫を思う妻の歌である。日や月が移りゆくのを見ても思いは尽きず、道は遠くていつ帰れるかわからない。最終章で一転し、世の君子たちに、人を損なわず貪り求めなければ、どうして善くないことがあろうか、と呼びかける。毛詩序は、衛の宣公が淫乱で国事を顧みず、戦を重ねたため夫婦が離ればなれになったことをそしる詩と読んだ。朱熹『詩集伝』は、行役に出た夫を思う妻の詩とし、最終章を、夫が身を慎んで無事に帰ることを願う言葉と解している。「忮わず求めず、何を用てか臧からざらん」の二句は、『論語』子罕篇で孔子が、破れた綿入れを着て立派な衣の人と並んでも恥じない子路をほめる際に引いたことで知られる。人をねたまず、欲張らなければ、それだけで人は善くあることができる。簡潔で力強い処世の言葉である。

この章句が説くこと

詩経行役論語子路邶風

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