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史記 / 汲鄭列伝

黯恥為令,病歸田里。上聞,乃召拜為中大夫。

新字:黯恥為令,病帰田里。上聞,乃召拝為中大夫。

書き下し

黯令為るを恥ぢ、病みて田里に帰る。上聞き、乃ち召して拝して中大夫と為す。

現代語訳

汲黯は県令であることを恥じ、病と称して郷里に帰った。主上はそれを聞き、召し出して中大夫に任じた。

解説

汲黯の経歴の一場面を記す短い段です。この直前、汲黯は河内の火事の視察を命じられた際、火事よりも飢饉で苦しむ民を見て、勅命と偽って官の倉を開いて穀物を配り、その罪を問われる代わりに県令に左遷されていました。汲黯はそれを恥じて病と称して郷里に帰ってしまいますが、武帝は召し戻して中大夫に任じています。命令違反を犯してでも民を救った行動を、武帝は結局評価したわけです。独断で規則を破った者を処罰するか評価するかは、組織にとって難しい判断です。形式上の違反と、その背後にある目的の正しさをどう秤にかけるか、上に立つ者の器が問われる場面です。一方、汲黯の側も、不本意な処遇にはあっさり職を辞するという潔さを見せています。

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