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史記 / 東越列伝

乃以便宜案兵告大農軍,而使使奉王頭馳報天子。詔罷兩將兵,曰:「郢等首惡,獨無諸孫繇君丑不與謀焉。」乃使郎中將立丑為越繇王,奉閩越先祭祀。

新字:乃以便宜案兵告大農軍,而使使奉王頭馳報天子。詔罷両将兵,曰:「郢等首悪,独無諸孫繇君丑不与謀焉。」乃使郎中将立丑為越繇王,奉閩越先祭祀。

書き下し

乃ち便宜を以て兵を案じて大農の軍に告げ、而して使ひをして王の頭を奉じて馳せて天子に報ぜしむ。詔して両将の兵を罷め、曰く、「郢等は首悪なり、独り無諸の孫繇君丑は謀に与らず」と。乃ち郎中将をして丑を立てて越繇王と為し、閩越の先の祭祀を奉ぜしむ。

現代語訳

(大行の王恢は)そこで現場の判断で兵を止め、大農(韓安国)の軍にも知らせ、使者に閩越王郢の首を持たせて馬を走らせて天子に報告させた。天子は詔して二将軍の兵を引き揚げさせ、こう言った。「郢らは首謀者である。ただ無諸の孫の繇君丑(ようくんちゅう)だけは謀に加わらなかった」。そこで郎中将を遣わして丑を越繇王に立て、閩越の先祖の祭祀を守らせた。

解説

閩越王郢が南越を攻めたため武帝が王恢と韓安国の二軍を出したところ、郢の弟余善が兄を殺して降伏した、という流れを受けた段です。前線の王恢は独断で進軍を止めて首を都へ送り、武帝も兵を引いて、謀に加わらなかった無諸の孫丑を越繇王に立てて祖先の祭祀を継がせました。首謀者だけを罰し、関わらなかった者に家を継がせるのは、中国の伝統的な処置です。ただし実際に兄を殺して手柄を立てた余善の扱いが残り、次の段で問題になります。現場の責任者が状況の変化を見て自ら兵を止めた判断も注目に値します。組織で不祥事が起きたとき、責任を負うべき者と無関係な者を区別し、残された人々の拠り所を守ることが、立て直しの第一歩になります。

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