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史記 / 范雎蔡沢列伝

為秦使於燕,三年而燕使太子丹入質於秦。

書き下し

秦の為に燕に使ひす、三年にして燕、太子丹をして入りて秦に質たらしむ。

現代語訳

秦のために燕へ使者として赴き、三年後に燕は太子丹を人質として秦に送った。

解説

蔡沢の晩年の功績を記した一文で、范雎蔡沢列伝の本文を締めくくります。宰相を退いて綱成君となった蔡沢は、昭王・孝文王・荘襄王、そして始皇帝と四代の秦王に仕え、始皇帝のもとでは燕への使者を務めました。三年にわたる交渉の結果、燕は太子丹を人質として秦に送ってきます。この太子丹は、後に秦から逃げ帰って荊軻に始皇帝の暗殺を命じる人物で、ここから刺客列伝の荊軻の物語へとつながっていきます。また甘茂列伝の甘羅の段にも「剛成君蔡沢を燕に使はす、三年にして燕王喜、太子丹をして入質せしむ」とあり、同じ出来事が別の巻にも書かれています。宰相の座を早々に降りた蔡沢が、その後も長く国に仕えて外交で実績を残したことは、地位を手放すことが必ずしも活躍の場を失うことではないという一つの答えになっています。役職を離れた後も、別の形で組織に貢献し続ける道があることを考えさせる結びです。

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