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史記 / 天官書

地維咸光,亦出四隅,去地可三丈,若月始出。所見,下有亂;亂者亡,有德者昌。燭星,狀如太白,其出也不行。見則滅。所燭者,城邑亂。如星非星,如雲非雲,命曰歸邪。歸邪出,必有歸國者。星者,金之散氣,本曰火。星衆,國吉;少則凶。漢者,亦金之散氣,其本曰水。漢,星多,多水,少則旱,其大經也。天鼓,有音如雷非雷,音在地而下及地。其所往者,兵發其下。天狗,狀如大奔星,有聲,其下止地,類狗。所墮及,望之如火光炎炎衝天。其下圜如數頃田處,上兌者則有黃色,千里破軍殺將。格澤星者,如炎火之狀。黃白,起地而上。下大,上兌。其見也,不種而穫;不有土功,必有大害。蚩尤之旗,類彗而後曲,象旗。見則王者征伐四方。旬始,出於北斗旁,狀如雄鷄。其怒,靑黑,象伏鱉。枉矢,類大流星,蛇行而倉黑,望之如有毛羽然。長庚,如一匹布著天。此星見,兵起。星墜至地,則石也。河、濟之間,時有墜星。天精而見景星。景星者,德星也。其狀無常,常出於有道之國。凡望雲氣,仰而望之,三四百里;平望,在桑楡上,千餘二千里;登髙而望之,下屬地者三千里。雲氣有獸居上者,勝。自華以南,氣下黑上赤。嵩髙、三河之郊,氣正赤。恆山之北,氣下黑下靑。勃、碣、海、岱之間,氣皆黑。

新字:地維咸光,亦出四隅,去地可三丈,若月始出。所見,下有乱;乱者亡,有徳者昌。燭星,状如太白,其出也不行。見則滅。所燭者,城邑乱。如星非星,如雲非雲,命曰帰邪。帰邪出,必有帰国者。星者,金之散気,本曰火。星衆,国吉;少則凶。漢者,亦金之散気,其本曰水。漢,星多,多水,少則旱,其大経也。天鼓,有音如雷非雷,音在地而下及地。其所往者,兵発其下。天狗,状如大奔星,有声,其下止地,類狗。所堕及,望之如火光炎炎衝天。其下圜如数頃田処,上兌者則有黄色,千里破軍殺将。格沢星者,如炎火之状。黄白,起地而上。下大,上兌。其見也,不種而穫;不有土功,必有大害。蚩尤之旗,類彗而後曲,象旗。見則王者征伐四方。旬始,出於北斗旁,状如雄鶏。其怒,青黒,象伏鱉。枉矢,類大流星,蛇行而倉黒,望之如有毛羽然。長庚,如一匹布著天。此星見,兵起。星墜至地,則石也。河、済之間,時有墜星。天精而見景星。景星者,徳星也。其状無常,常出於有道之国。凡望雲気,仰而望之,三四百里;平望,在桑楡上,千余二千里;登高而望之,下属地者三千里。雲気有獣居上者,勝。自華以南,気下黒上赤。嵩高、三河之郊,気正赤。恒山之北,気下黒下青。勃、碣、海、岱之間,気皆黒。

書き下し

地維咸光は、亦四隅に出で、地を去ること三丈可り、月の始めて出づるが若し。見はるる所、下に乱有り。乱るる者は亡び、徳有る者は昌ゆ。燭星は、状太白の如く、其の出づるや行かず。見はるれば則ち滅す。燭らす所の者は、城邑乱る。星の如くにして星に非ず、雲の如くにして雲に非ず、命じて帰邪と曰ふ。帰邪出づれば、必ず国に帰る者有り。星とは、金の散気なり、本は火と曰ふ。星衆ければ、国吉なり。少なければ則ち凶なり。漢とは、亦金の散気なり、其の本は水と曰ふ。漢、星多ければ、水多く、少なければ則ち旱す、其の大経なり。天鼓は、音有りて雷の如くして雷に非ず、音は地に在りて下は地に及ぶ。其の往く所の者、兵其の下に発す。天狗は、状大奔星の如く、声有り、其の下りて地に止まるや、狗に類す。墮ちて及ぶ所、之を望めば火光の炎炎として天を衝くが如し。其の下の圜きこと数頃の田の処の如く、上兌き者は則ち黄色有り、千里にして軍を破り将を殺す。格沢星は、炎火の状の如し。黄白にして、地より起こりて上る。下大にして、上兌し。其の見はるるや、種ゑずして穫る。土功有らずんば、必ず大害有り。蚩尤の旗は、彗に類して後曲がり、旗に象る。見はるれば則ち王者四方を征伐す。旬始は、北斗の旁らに出で、状雄鶏の如し。其の怒るや、青黒にして、伏鱉に象る。枉矢は、大流星に類し、蛇行して倉黒く、之を望めば毛羽有るが如く然り。長庚は、一匹の布の天に著くが如し。此の星見はるれば、兵起こる。星墜ちて地に至れば、則ち石なり。河・済の間、時に墜星有り。天精くして景星見はる。景星とは、徳星なり。其の状常無く、常に道有るの国に出づ。凡そ雲気を望むに、仰ぎて之を望めば、三四百里。平らかに望めば、桑楡の上に在り、千余二千里。高きに登りて之を望めば、下地に属する者三千里。雲気に獣の上に居る有る者は、勝つ。華より以南は、気は下黒く上赤し。嵩高・三河の郊は、気は正赤なり。恒山の北は、気は下黒く下青し。勃・碣・海・岱の間は、気皆黒し。

現代語訳

地維咸光も四隅に現れ、地上から三丈ほどの高さで、月が昇りはじめたようである。それが現れると、その下で乱がある。乱す者は滅び、徳ある者は栄える。燭星は姿が太白のようで、現れても動かない。現れるとすぐ消える。それが照らしたところでは、町が乱れる。星のようで星でなく、雲のようで雲でないものを帰邪という。帰邪が現れれば、必ず国に帰ってくる者がある。星とは金の散った気であり、そのもとは火である。星が多ければ国は吉で、少なければ凶である。天の川もまた金の散った気であり、そのもとは水である。天の川に星が多ければ水が多く、少なければ日照りになる。これがその大原則である。天鼓は、雷のようで雷でない音があり、その音は地上にあって下は地にまで及ぶ。それが向かうところでは、その下で兵が起こる。天狗は、姿が大きな流れ星のようで、音を立て、落ちて地上に止まると犬のようである。落ちたところを遠くから見ると、火の光が燃え上がって天を衝くようである。その下は丸く数頃の田ほどの広さで、上が尖っているものは黄色を帯び、千里の内で軍を破り将を殺す。格沢星は燃える火のような姿である。黄白色で、地上から立ち昇る。下が大きく、上が尖っている。これが現れると、種を蒔かなくても収穫がある。土木工事がなければ、必ず大きな災害がある。蚩尤の旗は、彗星に似て後ろが曲がり、旗の形をしている。これが現れると、王者が四方を征伐する。旬始は北斗の傍らに現れ、姿は雄鶏のようである。それが怒ると青黒くなり、うずくまったすっぽんのような形になる。枉矢は大きな流れ星に似て、蛇のようにうねって進み、青黒く、遠くから見ると羽毛があるように見える。長庚は一匹の布が天に貼りついたようである。この星が現れると戦が起こる。星が落ちて地に至れば石となる。黄河と済水の間には、時々落ちた星がある。天が澄み渡ると景星が現れる。景星とは徳の星である。その姿は定まっておらず、いつも道の行われている国に現れる。およそ雲気を望み見るとき、仰いで見れば三、四百里先まで、水平に見れば桑や楡の梢の上に見えて千余里から二千里先まで、高い所に登って見れば、下が地につながるものは三千里先までである。雲気の上に獣の形がのっているものは勝つ。華山より南では、雲気は下が黒く上が赤い。嵩山・三河の郊外では、雲気は真っ赤である。恒山の北では、雲気は下が黒く下が青い。勃海・碣石・東海・泰山の間では、雲気はみな黒い。

解説

さまざまな妖星と、雲気による占いの記述です。天狗は大きな流れ星のように音を立てて落ちるもので、今でいう火球や隕石の落下を指していると考えられます。日本語の天狗という言葉も、もとはこの流星の名から来ています。「星墜ちて地に至れば石なり」と、落ちた星が石になることもはっきり記されており、観察の確かさがうかがえます。蚩尤の旗や枉矢など彗星や流星に類するものは戦乱の兆しとされ、反対に「景星」は徳の星で、道の行われている国に現れるとされました。後半からは雲気の見方に入り、仰ぎ見るか水平に見るか高所から見るかで見通せる距離が違うこと、地方ごとに雲気の色が違うことが記されています。見る位置によって見える範囲が変わるという指摘は、物事を判断するとき、どこから眺めているかを意識することの大切さを教えてくれます。

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